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No.4190 火災保険料が値上げへ! 保険期間も短縮に

 気候変動の影響による自然災害発生の増加を背景に2022年以降、火災保険(住宅総合保険)の保険料が値上げの方向へ動いています。合わせて、保険期間も短縮される見通しです。

● 参考純率が引き上げへ

 損害保険料率算出機構は2021年6月16日、火災保険の保険料目安となる「参考純率」の引き上げを発表しました。引き上げ率は、全国平均で10.9%です。参考純率については、社会環境の変化やリスクの実態にあっているかどうかなどを損害保険料率算出機構が検証していますが、近年の自然災害の頻発・激甚化を受けて、参考純率の引き上げが続いています。近年では2018年に5.5%、2019年にも4.9%引き上げられていますが、今回の引き上げは過去2回を大きく上回る水準です。

 また、自然災害のリスクについては、将来的な見通しが立てづらく長期的なリスク評価が難しいことから、参考純率の適用できる期間を5年(現状は最長10年)に短縮するとしています。これにより、火災保険の保険期間も最長10年から5年へと短縮される見通しです。

● 火災保険見直しはリスクをよく確認して

 自然災害の増加傾向は、多くの人が感じていることと思いますが、実際この10年間で自然災害により保険金の支払額は増加しています。損害保険協会「火災保険における保険金支払いと収支の状況等(2021年6月25日)」によると、2011年度の自然災害(水災、雪災、風・雹災)による保険金支払額は2千億円程度でしたが、2018年度と2019年度は、2年連続で1兆円を超えています。

 来年以降、火災保険の保険料負担の増加は避けられそうにありません。家計にとっては、痛手です。火災保険の中では水災補償の有無は、保険料に与えるインパクトが大きいため、見直しの対象になりがちです。しかし、保険セールスパーソンは加入者へ安易な補償削減を提案することは避けるべきでしょう。

 最近では河川の氾濫などによる水害以外にも、都心部などでは豪雨による雨量に排水が追いつかずに水害となる「内水氾濫」のリスクも注目されつつあります。加入者の周辺環境はもちろん、保険がカバーするリスクの種類を的確に伝えたうえでの火災保険コンサルが必要です。

参考:
損害保険料率算出機構「火災保険参考純率 改訂のご案内」
損害保険協会「火災保険における保険金支払いと収支の状況等」

2021.10.18

高橋 浩史 (たかはし・ひろし)

FPライフレックス 代表(住まいと保険と資産管理 千葉支部)
日本ファイナンシャルプランナーズ協会CFPR
1級ファイナンシャル・プランニング技能士

東京都出身。デザイン会社、百貨店、広告代理店などでグラフィックデザイナーとして20年間活動。
その後、出版社で編集者として在職中にファイナンシャル・プランナー資格を取得。2011年独立系FP事務所FPライフレックス開業。
住宅や保険など一生涯で高額な買い物時に、お金で失敗しないための資金計画や保障選びのコンサルタントとして活動中。
その他、金融機関や出版社でのセミナー講師、書籍や雑誌での執筆業務も行う。

ホームページ http://www.fpliflex.com
ブログ http://ameblo.jp/kuntafp/