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No.4188 母子家庭、父子家庭の親のスキルアップを支援する給付金

 経済的に困難な状況にある母子家庭や父子家庭を支援する制度にはさまざまなものがあり、親が教育訓練を受けるための費用を支援するものもあります。資格を取得してスキルを身につければ、収入アップにつながる可能性があります。内容を確認していきましょう。

● 資格取得講座などを修了すると費用の60%を支給

 母子家庭の母または父子家庭の父の経済的な自立を支援するため、厚生労働省が自治体と協力して就業支援に取り組むのが「母子家庭自立支援給付金及び父子家庭自立支援給付金事業」です。利用できる人は、母子家庭の母または父子家庭の父で下記の要件を全て満たす人です。

  • 20歳に満たない児童を扶養していること
  • 児童扶養手当の支給を受けているか、または同等の所得水準にあること
  • 就業経験、技能、資格の取得状況や労働市場の状況などから判断して、その教育訓練が適職に就くために必要であると認められること

 上記に該当する人が、資格取得などの「対象となる講座」を受講し、修了すると経費の60%が支給されます。雇用保険の教育訓練給付金を受給できる場合は、その支給額との差額が支給されます。

「対象となる講座」
・雇用保険の教育訓練給付の指定教育訓練講座
・その他都道府県等の長が地域の実情に応じて対象とする講座

「支給額」
経費の60%
<下限>1万2,001円
<上限>修学年数×20万円(最大80万円)

 雇用保険の教育訓練給付とは、雇用保険に加入している人や離職者が資格取得講座などの教育訓練を受ける際に、費用の一部が支給される制度です。医療事務、WEBデザイナー、税理士、保育士などの他、大学の食物栄養学科、大学院のMBAプログラムなど幅広い分野の講座が対象です。対象講座は厚生労働大臣の指定する施設・講座に限られており、厚生労働省のホームページから検索できるようになっています。

参考:「教育訓練給付制度 厚生労働大臣指定教育訓練講座 検索システム」

● 就職に有利な資格取得は毎月の給付金で支援

 また、看護師や介護福祉士など就職に有利な資格取得を目指す場合には、毎月の給付金で支援する「高等職業訓練促進給付金」の制度もあります。1年以上(※1)のカリキュラムの修業が予定され、都道府県が指定する養成機関で修業する場合には、仕事または育児と修業の両立が困難であることなど一定の要件を満たすと、毎月7万500円(市町村民税課税世帯)、または10万円(市町村民税非課税世帯)(※2)の給付金が最大4年間支給されます。さらに、修了後には2万5,000円(市町村民税課税世帯)、または5万円(市町村民税非課税世帯)の「高等職業訓練修了支援給付金」が支給されます。

※1 2021年4月1日から2022年3月31日までに修業を開始する場合には6月以上。
※2 課程修了前の12か月は、月額11万500円(市町村民税課税世帯)、または14万円(市町村民税非課税世帯)を支給。

 これらの制度は多くの自治体で実施されていますが、実施していない自治体では利用できません。また、自立支援給付金と高等職業訓練促進給付金を併給できる場合もあるなど複雑な制度になっています。制度の利用を希望する場合には、必ず受講する前に、お住まいの自治体で詳しい内容と手続きについて確認するようにしてください。

2021.10.18

森田 和子(もりた・かずこ)

FPオフィス・モリタ 代表

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFPR認定者、DCA(確定拠出年金アドバイザー)
大学卒業後、コンピュータソフト会社、生命保険会社勤務を経て、1999年独立。保険や投資信託の販売をしない独立系のファイナンシャル・プランナー事務所としてコンサルティングを行っている。
お金の管理は「楽に、楽しく」、相談される方を「追い詰めない」のがモットー。情報サイト・新聞・雑誌への執筆多数。企業・学校・イベントで行うマネープランセミナー・講演も好評。

FPオフィス・モリタ http://okane-net.com/