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No.4180 「FIRE」に見る、人生100年を乗り切るヒント

● 節約と資産形成がFIREの基本

 このところ「FIRE」という言葉を耳にする機会が増えました。FIREとは「Financial Independence, Retire Early」の頭文字をとって略したもので、経済的自立を実現して早期退職を目指すライフスタイルのことを指しています。

 欧米の若者を中心に、こういった生き方に取り組む人が増えているといいます。日本でも早期退職という生き方は以前からありました。しかし、従来の早期退職のイメージは、定年を迎える前に会社を辞め、退職金と年金を取り崩しながら生活するものでした。

 FIREでは節約を徹底して早期から資産形成(貯蓄)に励み、リタイア後は資産の運用益で生活することで、長生きしても困らないよう資産を減らさない生活を目指す点が、特徴的です。

● FIREは多様化する生き方のひとつ

 FIREを実現する指標として、「年間生活費の25倍の資産」と「運用益4%の運用ルール」があります。例えば、年間生活費が240万円とすれば、25倍の6,000万円の資産を作り、それを年利4%で運用すれば、理論上は240万円の運用益(税金は考慮せず)が得られるので、生活が成り立つというわけです。

 ただリタイア後、運用益のみで生活することにこだわらなければ、前述の例のように必ずしも6,000万円を用意する必要もないと言えます。例えば、趣味や特技を生かして得る収入を資産運用の利益に加えて生活する方法なら、FIRE実現のハードルは下がるでしょう。

 価値観やライフスタイルが多様化する中、FIREのような生き方はこれから増えていくのかもしれません。一方で、定年後も元気なうちは働いて収入を得る生き方も、健康面や家計面でのメリットは少なくありません。

 どちらを目指すにしても、経済的な裏付けが必要な現代人にとって、「無駄な支出はしない」「資産運用は早期に開始する」といった考え方は、人生100年時代を乗り越えるためのキーワードとも言えるのではないでしょうか。

2021.10.04

高橋 浩史 (たかはし・ひろし)

FPライフレックス 代表(住まいと保険と資産管理 千葉支部)
日本ファイナンシャルプランナーズ協会CFPR
1級ファイナンシャル・プランニング技能士

東京都出身。デザイン会社、百貨店、広告代理店などでグラフィックデザイナーとして20年間活動。
その後、出版社で編集者として在職中にファイナンシャル・プランナー資格を取得。2011年独立系FP事務所FPライフレックス開業。
住宅や保険など一生涯で高額な買い物時に、お金で失敗しないための資金計画や保障選びのコンサルタントとして活動中。
その他、金融機関や出版社でのセミナー講師、書籍や雑誌での執筆業務も行う。

ホームページ http://www.fpliflex.com
ブログ http://ameblo.jp/kuntafp/