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No.4176 夫婦共同扶養の場合の被扶養者認定について

 健康保険の被扶養者認定について、夫婦が共同で扶養する(いわゆる共働き)場合、被扶養者の人数に関わらず、年間収入の多い方の扶養とすることとなっています。年間収入がほぼ同じ場合など、その調整の間、無保険状態を強いられることのないよう、取扱基準が策定され、令和3年8月1日から適用されていますので、ご確認ください。

● <夫婦とも被用者保険の被保険者である場合>

  1. 年間収入の判定
    被保険者の年間収入は、過去の収入、現時点の収入、将来の収入等から今後1年間の収入を見込んだ額で判定。被扶養者の人数に関わらず、この額の多い方の被扶養者とする。年間収入比較に係る書類は、保険者判断として差し支えない。
     
  2. 年間収入がほぼ同じ場合
    夫婦双方の年間収入の差額が多い方の1割以内である場合は、届出により、主として生計を維持する者の被扶養者とする。
     
  3. 共済組合の組合員の場合
    夫婦双方またはどちらかが共済組合の組合員であり、その被扶養者とすべき者に対して扶養手当等が支給される場合には、その認定を受けている者の被扶養者として差し支えない。なお、扶養手当が支給されていない場合でも、それを理由に被扶養者として認定しないことはできない。
     
  4. 不認定とされた場合
    被扶養者として認定しない保険者等は、その決定について、不認定通知を被保険者に発出する。被保険者はその通知を添えて、次の保険者に届出をする。
    次の保険者は、先に不認定とした保険者の決定に疑義があれば、年間収入の算出根拠を明らかにしたうえで、両保険者で協議し、どちらの被扶養者とすべきかを決定する。
    協議が整わない場合は、最初に届出がされた日の属する月の標準報酬月額の高い方の被扶養者とする。同額の場合は、主として生計を維持する者の被扶養者とする。

● <夫婦のどちらかが国民健康保険の被保険者である場合>

  1. 年間収入の判定
    被用者保険の被保険者の年間収入は、過去の収入、現時点の収入、将来の収入等から今後1年間の収入を見込んだ額を、国民健康保険の被保険者については直近の年間所得で見込んだ年間収入を比較し、どちらか多い方が主として生計を維持する者となる。
     
  2. 不認定とされた場合
    被扶養者として認定しない保険者等は、その決定について、不認定通知を被保険者に発出する。被保険者はその通知を添えて、国民健康保険の保険者に届出をする。
    国民健康保険の保険者は、先に不認定とした保険者の決定に疑義があれば両保険者で協議する。協議が整わない場合は、直近の課税(非課税)証明書の所得金額が多い方を、主として生計を維持する者とする。

● <育児休業等の取得>

 主として生計を維持する者が育児休業等を取得した場合は、その休業期間中は、被扶養者を異動しない。ただし、新たに誕生した子については、改めて認定手続きを行う。

● <年間収入が逆転した場合>

 年間収入が逆転した場合は、年間収入が多くなった被保険者の保険者等が被扶養者認定することを確認した後、それまで認定を受けていた被保険者の被扶養者認定を削除する。

参照:夫婦共同扶養の場合における被扶養者の認定について(厚生労働省)

2021.09.21

沖田 眞紀(おきた・まき)

特定社会保険労務士
社労士事務所コンフィデンス

千葉県出身。大手電機メーカーをはじめ、介護施設、建設関連会社等様々な業種で、人事労務を担当。長年の実務経験を活かし、現在は人事労務相談・助成金手続・就業規則作成などを中心に社会保険業務および各種相談業務を行っている。