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No.4172 キャッシュレス決済の普及状況は

 2021年6月、経済産業省は「キャッシュレス決済実態調査アンケート」の集計結果を公表しました。このアンケートは、現状における各キャッシュレス決済手段の普及状況や手数料等の関連コストの実態を把握するためのWEBアンケートで、事業者を対象に実施されたものです。

 なお、アンケートにおけるキャッシュレス決済とは、「クレジットカード、デビットカード、プリペイドカード、電子マネー、QRコード決済などの、カード・携帯電話・スマートフォンによる支払い」と定義されています。

● キャッシュレス決済の導入状況

 回答した事業者におけるキャッシュレス導入率は72%で、決済方法別にみるとクレジットカードとコード決済(QRコードやバーコードを使用したキャッシュレス決済=PayPay、楽天ペイ、d払いなど)は55%の事業者で導入されていますが、交通系電子マネー(Suica、ICOCAなど)と非交通系電子マネー(nanaco、WAONなど)は25%となっています。

 業種別では、飲食業・小売業・観光業等でキャッシュレス導入比率が高く、売上規模では、売上高1000万円以上1億円未満の中規模事業者で導入率が約80%と高い一方で、小規模・大規模事業者では低い傾向にあります。地域別では、全体として大きな偏差はありませんでした。

 客単価別では、1000円~1万円未満の単価帯でキャッシュレス導入率が高い一方、客単価の高い事業者では導入率が低く、BtoC比率別では、BtoC比率が上昇するとキャッシュレス比率も上昇する傾向がある一方で、BtoB業種では導入率が低い傾向となっています。

● キャッシュレス決済の手数料と入金サイクル

 キャッシュレス決済の手数料率は、いずれの決済手段であっても3%台前半の占める割合が高く、ポイント還元事業において3.25%以下の手数料率を決済事業者の参加要件とした効果が継続しています。また、コード決済はキャンペーン実施により、直近では0%台の割合が高くなっています。

 また、キャッシュレス決済の導入条件として、手数料の上限については、2%台までという回答が全体の8割を超え、入金サイクルは月1~2回のサイクルでも対応可能とする事業者の割合が高くなっています。

● キャッシュレス決済を導入していない理由

 「顧客からの要望がない」が第1位、「手数料が高い」が2位、「導入のメリットが不明」が第3位となっています。また、自由記載欄では「業態に合わない」、「高齢者が多く要望がない」、「銀行振込を利用」等の回答が多くありました。

 経済産業省は、2019年10月から2020年6月にかけて、キャッシュレス・ポイント還元事業を実施し、キャッシュレス化を強く推し進めてきましたが、今回のアンケートの結果も踏まえて、更なるキャッシュレス推進に向けた取組みを継続していくとしています。

参照: 経済産業省「キャッシュレス決済 実態調査アンケート集計結果」

2021.09.13
(セールス手帖社 高田 康正)