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No.4169 テレワーク時代、10月から健康保険証は被保険者へ直送

● 会社に誰もいないと健康保険証が受け取れない!?

 新型コロナウイルスの感染防止対策と合わせてオンライン申請が加速するなか、政府が進める押印の見直しを受け、これまで条例や規則で押印が必要だった行政書類の多数がハンコを使わずに手続きできるようになってきました。

 会社が労働者を雇い入れた時など、事業主が行う労働者の資格取得・喪失関係の申請、届出もオンライン申請が進み、現在は特定の法人については、電子申請が義務化されています。またテレワークで仕事し、会社にわざわざハンコを押すためだけに出勤する必要もなくなり、出勤する機会がますます少なくなってきています。

 そんななか、健康保険制度における被保険者証(健康保険証)については、労働者を採用して健康保険の資格を取得すると、被保険者証を保険者から事業主に送付し、事業主から被保険者に交付することが義務付けられています。しかし、コロナ禍でテレワークの普及率が高まると、以下のようなことが起こりがちです。

 被保険者証は事業主に送付されるので、テレワークで会社に誰もいなくても配達されてしまいます。またほとんどの場合は書留等、受け取る側に直接手渡しとなっているので、誰もいないと受け取れないため再配達となるか、受け取れたとしてもその労働者がテレワークで出勤していない場合は、更に書留で自宅まで送るという手間も時間もかかる事態になっていました。

● 医療費の支払いが高額になる時の限度額適用認定証も同様の扱い

 そこで厚生労働省から、テレワークの普及等に対応した柔軟な事務手続を可能とするため、保険者が支障がないと認めるときは、保険者から被保険者に対して被保険者証を直接交付することが可能となります。この内容を定めた「健康保険法施行規則及び船員保険法施行規則の一部を改正する省令」が令和3年10月1日から施行されます。

 なお、高齢受給者証、特定疾病療養受療証、限度額適用認定証、限度額適用・標準負担額減額認定証の交付についても同様です。

 健康保険組合の場合は、具体的な取扱いについて規程を定め、組合会の議決を得ることとされています。

2021.09.06

半田 美波(はんだ・みなみ)

社会保険労務士
みなみ社会保険労務士事務所 代表、株式会社サンメディックス 代表取締役
診療所で医療事務職として勤務した後、医療法人事務長、分院の設立業務担当を経て、2003年に医療機関のサポート会社・(株)サンメディックス設立。2004年にみなみ社会保険労務士事務所を設立。医療機関に詳しい社労士として知られる。