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No.4168 コロナ禍で増えるペット需要、飼育費の目安は?

 昨年以降、ペットを飼う人が増えています。この背景には新型コロナの流行を機に、家にいる時間が長くなり、ペットとともに過ごしたいという需要の高まりがありそうです。とはいえ、ペットにもなにかとお金がかかるため、費用感を把握することも必要です。

● ペット飼育者のうち約2割が2020年以降に飼育開始

 楽天インサイトが2021年1月に行ったペットの飼育状況の調査によると、現在ペットを飼っている人では「犬」が13.2%で最も多く、ついで「猫」11.0%、「淡水魚」4.5%と続きます。

 ペットの飼育を始めた時期については、2017年以前が62.4%、2018年が8.4%、2019年が9.3%、そして2020年以降は19.9%でした。2020年が過去2年よりも10ポイント以上上昇しているのは、コロナの影響もあるようです。2020年に限ってみると、2020年4月~12月にペットを飼い始めた人が16.3%で、その理由として、「新型コロナウイルス感染症拡大の影響(おうち時間の増加、人と接する機会の減少など)」と回答した人が14.0%含まれています。

 一方で、ペットを飼っていない人は69.2%でした。ただ、そういった現在ペットを飼っていない人でも、今後ペットを飼ってみたいかの問いに対しては、「既に検討している」2.2%、「いつか飼いたいと思っている」32.5%となっており、ペットを飼いたい意向を示した人が合計34.7%で、ペットの飼育に対して前向きな意向がうかがえます。

● 家計を考えるときはペット飼育費用も忘れずに

 飼い主にとって、癒しをもたらすペットの存在は小さなものではなく、精神的なケアにもなるとも言われます。では、気になる飼育費用はどれくらいかかっているのでしょう。

 先の調査によると、ペットの飼育に必要な費用の平均月額は、犬が9,360円、猫は6,673円です。この数字だけ見ると特段大きな費用とは言えないような気もしますが、別の調査では様子が変わります。

 ペット保険最大手のアニコム損保が発表しているペットにかける年間支出調査では、2020年の飼育費用の年間平均額は、犬が338,561円、猫は164,835円でした。月額にすると、それぞれ28,213円と13,736円ですから、2つの調査結果には大きな開きがあります。

 この数字の差は、調査対象の違いにもあるのかもしれません。アニコム損保の調査は、自社のペット保険に加入している人を対象に行われているのに対して、楽天インサイトの調査は、全国の20~69歳の男女(楽天インサイトのモニター登録者)が対象になっています。

 おそらくペット保険に入る人の方が、相対的にペットへの支出は惜しまない人が多いのではとも考えられます。また、費用の対象になった項目の違いもあるでしょう。

 ペットを飼うのなら、最後まで飼育する責任を持つことはもちろんですが、家計の中に飼育のためのコストを見ておかねばなりません。今回見てきた飼育費用の他にも、最終的には葬儀費用や墓地費用なども必要です。ライフプランの相談を受ける際は、ペット飼育の有無はもちろんのこと、今後の飼育の意向などもヒアリングした上でのプランニングが大切です。

参考:
楽天インサイト2021年2月15日レポート「ペットに関する調査」
アニコム損害保険株式会社2021年3月23日ニュースリリース「ペットにかける年間支出調査2020」

2021.09.06

高橋 浩史 (たかはし・ひろし)

FPライフレックス 代表(住まいと保険と資産管理 千葉支部)
日本ファイナンシャルプランナーズ協会CFPR
1級ファイナンシャル・プランニング技能士

東京都出身。デザイン会社、百貨店、広告代理店などでグラフィックデザイナーとして20年間活動。
その後、出版社で編集者として在職中にファイナンシャル・プランナー資格を取得。2011年独立系FP事務所FPライフレックス開業。
住宅や保険など一生涯で高額な買い物時に、お金で失敗しないための資金計画や保障選びのコンサルタントとして活動中。
その他、金融機関や出版社でのセミナー講師、書籍や雑誌での執筆業務も行う。

ホームページ http://www.fpliflex.com
ブログ http://ameblo.jp/kuntafp/