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No.4164 薬局も「かかりつけ」の時代に

 2019年11月の医薬品医療機器法の改正に伴い、2021年8月1日から地域連携薬局の認定制度として、一人ひとりの服薬状況をしっかり把握し薬のことについて教えてくれる「かかりつけ薬局」制度がスタートしました。かかりつけ薬局とはどのような制度なのでしょうか? 私たちにとって、どのようなメリットのあるものなのでしょうか?

● かかりつけ薬局の目的とメリット

 「かかりつけ医」という言葉を聞いたことがあると思います。かかりつけ医は、健康に関することを何でも相談できる医者のことであり、治療が必要なときには、専門医を紹介してくれる医者のことです。既往症や現在どのような治療を受けているのか・受けたことがあるのか等、ある意味、あなたやあなたの家族の健康に関することを広く知っているのがかかりつけ医です。

 かかりつけ薬局とは、その薬のバージョンであり、服薬情報だけでなく、在宅での対応や薬学的管理や指導をするもので、健康相談や適切な薬剤を選べるように助言すること、病状によっては受診を勧めるなどの役割を担うものです。同制度が発足した背景としては、薬の情報を一元管理し、複数の医療機関にかかり、本来、必要ではない薬を使わせないようにする、防ぐ役割があります。また、薬の飲み合わせなども相談もできます。かかりつけ薬局には、大きく分けると以下の3つのメリットがあります。

  1. 処方されている薬だけでなく、市販の薬等も一元管理し、どのような薬を服用しているのか、重複している薬はないか、副作用はないか等を継続してチェックしてもらえる。
  2. 薬局が開いていない時間であっても薬の相談ができるだけでなく、在宅医療のサポートも受けられる。つまり24時間体制でサポートが受けられる。
  3. 必要に応じて医師への問い合わせや提案、処方した医師へのフィードバック等を行う。地域医療機関と連携しているため、チーム体制のサポートを受けられるようになる。

● かかりつけ薬局を指名するには

 かかりつけ薬局を指名するには、自分の行きつけの薬局、あるいは指定したい薬局があればそこへ出向いて、かかりつけ薬剤師(かかりつけ薬剤師制度は2016年スタート)を指名し、説明を受けた後、同意書にサインすればOKです。ただし、かかりつけ薬剤師・薬局を指名すると、薬剤服用歴管理指導料の代わりに、かかりつけ薬剤師指導料がかかります。金額としては、医療費3割負担の人の場合、100円程度の負担が増えることになります。

 若い人にとっては、24時間体制のサポートはいらないと思うかもしれません。ただ、離れて暮らす高齢の両親や祖父母がいる人、単身者で既往症がある人にとっては、心強い味方になるのではないでしょうか?

参照:厚生労働省「身近な健康の相談役『かかりつけ薬剤師・薬局』を持ちましょう」

2021.09.01

飯田 道子(いいだ・みちこ)

海外生活ジャーナリスト/ファイナンシャル・プランナー(CFP)
金融機関勤務を経て96年FP資格を取得。各種相談業務やセミナー講師、執筆活動などをおこなっている。主な著書には、「宅建資格を取る前に読む本」(総合資格)、「介護経験FPが語る介護のマネー&アドバイスの本」(近代セールス社)などがある。
海外への移住や金融、社会福祉制度の取材も行う。得意なエリアは、カナダ、韓国など。