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No.4158 懸賞で高額賞金・商品が当たった場合は課税に注意!

● 懸賞金は一時所得に該当し、課税対象となる

 懸賞で高額な賞金・商品が当たった場合は課税に注意する必要がある。懸賞金は一時所得に該当する。一時所得とは、営利を目的とする継続的行為から生じた所得ではなく、労務その他の役務の対価又は資産の譲渡による対価でもない一時の所得を言う。例えば、懸賞や福引きの賞金品、競馬や競輪の払戻金、生命保険の一時金や損害保険の満期返戻金等、法人から贈与された金品、遺失物拾得者や埋蔵物発見者の受ける報労金等が該当する。

 つまり、懸賞に当選してもらった金品については、「一時所得」となり所得税の課税対象となるのだが、もらった懸賞金が全て課税対象となるわけではない。一時所得には50万円の特別控除が認められる。一時所得金額の計算は、その年中の一時所得に係る総収入金額から、その収入を得るために支出した金額の合計額を控除し、その残額から特別控除額50万円を控除した金額の2分の1に税金がかかる。

 したがって、懸賞金等の額が50万円以下であれば、税金がかからないので申告は不要となる。

● 物品で受け取った場合は処分見込価額で評価

 また、賞金等を物品で受け取った場合は、その物品を評価しなければならないが、その評価は、原則として、その物品の処分見込価額となる。例えば、株式、貴金属又は不動産等はその受けとることとなった日の価額、商品券やギフト券などはその券面額となる。それ以外のものは、その物品の通常の販売価額の60%相当額で評価する。

 自動車やお米、特産品などの一般的な商品は、それ以外のものに該当する。例えば、1万円分のハガキで応募して、現金正価300万円の自動車が当選した場合、「300万円(現金正価)×0.6-1万円(必要経費)-50万円(特別控除)」×0.5=64.5万円が課税対象の金額となる。また、賞金等を受け取る際には、50万円を差し引いた残額に10.21%の税率を乗じて算出した源泉徴収税額が天引きされる。

 この賞金等受領時に天引きされた源泉徴収税額は、確定申告をしたときに税額控除を受ける。当選した際に賞金を受け取ったときは、確定申告で他の給与所得や事業所得などと合算して所得税を計算し、源泉徴収された税金を精算してもらうことになる。なお、適用される税率は、累進課税による総合課税となるので、その当選者の他の所得金額次第で、所得税・住民税合わせて最小15%から最大55%(基準所得税額に対しては復興特別所得税を上乗せ)となる。

2021.08.10

浅野 宗玄(あさの・むねはる)

株式会社タックス・コム代表取締役
税金ジャーナリスト
1948年生まれ。税務・経営関連専門誌の編集を経て、2000年に株式会社タックス・コムを設立。同社代表、ジャーナリストとしても週刊誌等に執筆。著書に『住基ネットとプライバシー問題』(中央経済社)など。
http://www.taxcom.co.jp/
○タックス・コム企画・編集の新刊書籍『生命保険法人契約を考える』
http://www.taxcom.co.jp/seimeihoujin/index.php