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No.4152 ICT利用の所得税等申告書提出人員は76.8%に上昇

● 2,000万件を超える納税者数対応にICTを活用

 令和2年分所得税等の確定申告では、所得税等の確定申告書提出人員数が2,249万3,000人で、過去最高だった平成20年分(2,369万3,000件)を5.1%下回っている。確定申告書提出人員数は平成23年分以降ほぼ横ばいで推移しており、こうした2,000万件を超える納税者数に対応するために、国税庁では確定申告における基本方針として「自書申告」を推進、そのためのICT(情報通信技術)を活用した施策に積極的に取り組んでいる。

● 自宅等でのICT利用が増加

 国税庁のホームページ上で申告書が作成できる「確定申告書等作成コーナー」やe-Taxなど、ICTを利用した所得税等の確定申告書の提出人員は全体で1,726万4,000人にのぼり、令和元年分より134万9,000人(対前年比+8.5%)増加。所得税の確定申告書の提出人員に占める割合は前年分より4.6ポイント上昇の76.8%に達した。

 贈与税の申告でも、提出人員48万5,000人のうち81.8%(39万7,000人)がICTを利用、前年分から1万人(対前年比+2.6%)増加している。

 確定申告会場でのICT利用は、会場で申告書を作成して「e-Tax」で所得税等の申告書を提出した人が323万2,000人、同「書面での提出」が21万4,000人の計344万6,000人となり、前年比▲9.6%減少。

 一方で、自宅などでのICT利用者は、国税庁HPの作成コーナーで作成して「書面で提出」が465万5,000人、同「e-Taxで提出」が313万9,000人、さらに各種会計ソフトで作成して「e-Taxで提出」が476万人の計1,255万4,000人となっており、自宅等でのICT利用者は14.5%増加している。

● スマホを使った申告人員が2.2倍に増加

 e-Taxでの所得税等の申告書提出件数は、前年比12.7%増の1,239万4,000人となり、所得税等の確定申告書の提出人員の5割以上(55.1%)がe-Taxを利用している。また、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、自宅からスマホを使ってe-Taxで申告した人員は101万8,000人で前年分(47万3,000人)から約2.2倍に増えた。特に、マイナンバーカードを利用したスマホ申告は43万2,000人で前年分(5万9,000人)から約7.3倍に増加した。

 このように、ICTを活用した施策は大きく伸びたが、閉庁日における申告相談は今回も2月21日と2月28日の日曜日に、228税務署を対象に、税務署のほか合同会場・広域センターにおいて実施。これらの会場における両日の相談件数は前年比▲34.7%減の9万6,000件、申告書収受件数は同▲42.6%減の13万3,000件と大幅に減少し、ここにも新型コロナウイルス感染症拡大の影響がうかがわれる結果となった。

参考: 国税庁「令和2年分の所得税等、消費税および贈与税の確定申告状況等について」

2021.08.02

浅野 宗玄(あさの・むねはる)

株式会社タックス・コム代表取締役
税金ジャーナリスト
1948年生まれ。税務・経営関連専門誌の編集を経て、2000年に株式会社タックス・コムを設立。同社代表、ジャーナリストとしても週刊誌等に執筆。著書に『住基ネットとプライバシー問題』(中央経済社)など。
http://www.taxcom.co.jp/
○タックス・コム企画・編集の新刊書籍『生命保険法人契約を考える』
http://www.taxcom.co.jp/seimeihoujin/index.php