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No.4126 若年者雇用促進法に基づく「事業主指針」の改正

 若年層(満15歳から34歳)の失業率は他の年齢と比べて高く、大卒者の3割、高卒者の4割が卒業後3年以内で離職しています。また新規学卒者で就職を希望しながらも未就職のまま卒業する方、「正規職員の仕事がない」と不本意ながら非正規雇用についている方の割合も、他の年齢に比べ高くなっています。厚生労働省では、若年者の雇用機会の確保及び職場への定着に関する事業主等が講ずべき措置について「事業主指針」を定めていますが、この度、近年問題となった留意事項についても、事業主等が講ずべき措置を定めることとして改正されました。各種施策を推進することにより、我が国の将来を担う若者が、安心・納得して働き、その意欲や能力を十分に発揮できる社会の実現を目指しています。

● <事業主指針の概要>

☆ が今回の改正ポイントです

1. 労働条件の明示と個人情報管理
・ 適切な職業選択と安定した就業のために、労働条件の明示を遵守する
・ 明示した業務内容等は、虚偽又は誇大な内容としない
・ 固定残業代を支給する場合は、固定残業代に関する労働時間数と金額等の計算方法を明示
☆ 求職者の個人情報を適切に取り扱うこと

2. 内定取消、内定辞退勧奨の防止
・ 労働契約成立と認められる場合には、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない内定取り消しは無効とされる
☆ 内定、内々定と引き替えに、他の就職活動をやめるように強要しない
☆ 労働契約成立と認められる場合には、内定者の自由な意思決定を妨げるような内定辞退の勧奨は行わない

3. ハラスメント
☆ 就職活動中の学生やインターンシップを行っている者に対する言動について、必要な注意を払う
(OB,OG訪問等の際も含む)

4. 就労実態等に関する職場情報を応募者に提供
・ 幅広い職場情報の提供が努力義務
・ 応募者等から求めがあった場合に、以下3類型ごとに1つ以上の情報提供を義務
 ① 募集・採用に関する状況
 ② 職業能力の開発・向上に関する状況
 ③ 企業における雇用管理に関する状況

5. 卒業後3年以内の者も「新卒枠」で応募受付
・ 既卒者が卒業後少なくとも3年間は「新卒枠」に応募できるようにする、できる限り上限年齢を設けないように努める
・ 通年採用や秋季採用の導入等、個々の事情に配慮した柔軟な対応を積極的に検討するように努める

【参照】厚生労働省 若者の募集・採用等に関する指針

2021.06.14

沖田 眞紀(おきた・まき)

特定社会保険労務士
社労士事務所コンフィデンス

千葉県出身。大手電機メーカーをはじめ、介護施設、建設関連会社等様々な業種で、人事労務を担当。長年の実務経験を活かし、現在は人事労務相談・助成金手続・就業規則作成などを中心に社会保険業務および各種相談業務を行っている。