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No.4123 大学生なら給付型奨学金をチェックしよう

 先が見えないコロナ禍で、学校教育における授業の対応方法にも変化が見られました。とはいえ、経済的に苦しい思いをしている家庭・学生も少なくありません。実は、高等教育の修学支援新制度がスタートしています。今回は大学生等の高等教育にスポットをあて、どのような制度なのか解説していきます。

● 対象となる大学が拡充

 支援対象となるのは、大学、短期大学、高等専門学校(4・5年次及び認定専攻科)、専門学校です。とはいえ、すべての学校が対象ではありません。進学先・希望校が対象か、文部科学省のサイトで確認できますので、確認してみましょう。

 支援の対象となるのは、「世帯収入や資産の要件を満たしていること」「学ぶ意欲がある学生であること」の2つの要件を満たしている学生なら誰でもなれます。

● 入学金から、授業料、毎月の費用まで支援してくれる

 支援は、「授業料・入学金の免除または減額(授業料等減免)」と「給付型奨学金の支給」の2つを受けることができます。支援金額は世帯の収入によって違ってきます。

 授業料・入学金の免除または減額(授業料等減免)のほうは、例えば住民税非課税世帯の学生が昼間制の私立大学に進学した場合、入学金として約26万円まで、授業料として約70万円までが免除・減額されます。一方、夜間制の私立大学なら、入学金として約14万円まで、授業料として約36万円までが免除・減額されます。

 一方、給付型奨学金のほうは世帯収入だけでなく、自宅通学か自宅外通学かによって金額に違いがあります。例えば住民税非課税世帯の学生が自宅から大学(国公立・私立、昼間・夜間制を問わず)に進学した場合、月額38,300円が支給されます。これが自宅外からとなると、月額75,800円となります。

 例えば、住民税非課税世帯の学生が私立大学に自宅以外から通う場合、年間の支援額は最大で、入学金(初年度のみ)約26万円+授業料約70万円+給付型奨学金約91万円=約187万円になります。

● 経済的に困難な学生等が活用可能な支援策

 申し込み方法は、授業料等の減免を希望する場合は、入学時に進学先の大学等へ申し込みます。ただし、入学後3カ月経過すると「入学金」の免除・減額は受けられなくなってしまいます。利用する場合は、できるだけ早く手続きしましょう。給付型奨学金を希望する場合には、進学する前年の4月下旬から高校等から日本学生支援機構(JASSO)へ申し込むことができます。また、同制度の支援は新入生だけでなく、既に入学済みの学生の授業料や奨学金も対象です。

 先が見えない今、経済的な理由で学びを諦めるのは辛いことです。対象かどうかを確認し、もらえるものはもらい、自分の将来のために役立てていきましょう。

参照:文部科学省「学びたい気持ちを応援します 高等教育の修学支援新制度」

2021.06.07

飯田 道子(いいだ・みちこ)

海外生活ジャーナリスト/ファイナンシャル・プランナー(CFP)
金融機関勤務を経て96年FP資格を取得。各種相談業務やセミナー講師、執筆活動などをおこなっている。主な著書には、「宅建資格を取る前に読む本」(総合資格)、「介護経験FPが語る介護のマネー&アドバイスの本」(近代セールス社)などがある。
海外への移住や金融、社会福祉制度の取材も行う。得意なエリアは、カナダ、韓国など。