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No.4011 厚労省、10月は年休取得を促進する期間と定める

● 年次有給休暇取得促進特設サイトの活用

 新型コロナウイルス感染症対策として、新しい生活様式が求められる中、新しい働き方・休み方を実施するには、計画的な業務運営、休暇の分散化が必要であり、企業ごとに実情に合った制度構築に取り組んでいかなければならないところである。

 厚生労働省は、年次有給休暇(年休)が取得しやすい環境を整備するため、10月を「年次有給休暇取得促進期間」と定め、労使に対する働きかけをはじめとする、各種広報事業などを行っている。その活動の1つとして年次有給休暇取得促進特設サイトを立ち上げているので、この機会に労使一体となって年休を上手に活用できるよう検討してみるのもよいだろう。

● 年次有給休暇の計画的付与制度の活用

 労働基準法が改正され、平成31年4月から、使用者は法定の年休の付与日数が10日以上の全ての労働者に対し、毎年5日間、年休を取得させることが義務化された。企業の中にはその対応に追われているところもあり、法律違反にならぬよう、期限ギリギリになって従業員に年休を取得するよう命じているところもあるようだ。

 そんな状況の中で利用したい制度の1つとして、「年次有給休暇の計画的付与制度」がある。これは年休の付与日数のうち5日間を除いた残りの日数については、労使協定を締結すれば計画的に取得日を割り振ることができる制度である。同制度を導入している企業は導入していない企業よりも年休の平均取得率が高くなっており、また、労働基準法を遵守する観点からも年休の計画的付与制度の導入は望ましいものといえる。

 同制度を導入する際には、就業規則に規定するとともに労使協定の締結が必要である。企業にとっては労務管理がしやすくなって計画的な業務運営ができるようになり、従業員も同僚に気兼ねなく休暇を取得できるので双方大きなメリットになるといえる。なお、同制度には下記の3つの方法があり、実情に合わせて導入を検討するのが良いだろう。

  1. 企業または事業場全体の休業による一斉付与方式
  2. 班・グループ別の交代制付与方式
  3. 年次有給休暇付与計画表による個人別付与方式

 休暇の分散化にもつながる「年次有給休暇付与計画表による個人別付与方式」は、従業員の満足度を高めるためにも積極的に検討してみたい方法であるといえる。今回紹介した特設サイトには導入にあたっての解説や労使協定の事例なども掲載されているので、これを機会に何か新しい取り組みにチャレンジするのもよいのではないだろうか。

参照:厚生労働省「年次有給休暇取得促進特設サイト」

2020.10.26

庄司 英尚(しょうじ・ひでたか)

株式会社アイウェーブ代表取締役、アイウェーブ社労士事務所 代表
社会保険労務士 人事コンサルタント

福島県出身。立命館大学を卒業後、大手オフィス家具メーカーにて営業職に従事。その後、都内の社会保険労務士事務所にて実務経験を積み、2001年に庄司社会保険労務士事務所(現・アイウェーブ社労士事務所)を開業。その後コンサルティング業務の拡大に伴い、2006年に株式会社アイウェーブを設立。企業の業績アップと現場主義をモットーとして、中小・中堅企業を対象に人事労務アドバイザリー業務、就業規則の作成、人事制度コンサルティング、社会保険の手続き及び給与計算業務を行っている。最近は、ワーク・ライフ・バランスの導入に注力し、残業時間の削減や両立支援制度の構築にも積極的に取り組んでいる。

公式サイト http://www.iwave-inc.jp/
社長ブログ http://iwave.blog73.fc2.com/