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No.4002 雇用保険 失業給付の給付制限が2ヵ月に短縮

 正当な理由のない自己都合で退職した場合の失業給付(基本手当)の給付制限は、これまで3ヵ月でした。しかし、失業しているにもかかわらず、長期間給付が受けられないと生活に支障をきたすことから、令和2年10月1日以降に離職された方から、2ヵ月に短縮されました。令和2年9月30日以前に離職された方の給付制限は、この短縮の影響はなく、3ヵ月となります。また、自己の責めに帰すべき重大な理由で退職された方の給付制限は、これまで通り3ヵ月となります。

<正当な理由のある自己都合とは?>

 倒産、事業縮小等、会社都合により離職した方は、『特定受給資格者』となり、失業給付の受給資格要件が緩和、給付制限なし、給付日数が手厚くなります。しかし自己都合退職の場合でも、下記の理由による場合は『特定理由離職者』となり、特定受給資格者と同様とされる場合があります。

  1. 体力の不足、心身の障害、疾病、負傷、視力、聴力、触覚の減退による離職
  2. 妊娠、出産、育児により離職し、雇用保険の受給延長措置を受けた者
  3. 父母の死亡、疾病、負傷又は常時本人の看護を必要とする親族の疾病等による離職
  4. 配偶者や扶養親族と別居を続けることが困難となった者
  5. 次の理由により通勤が困難となった者
    • 結婚に伴う住所の変更
    • 育児に伴う保育園等への保育の依頼
    • 事業所の通勤困難な地への移転
    • 自己の意思に反する住所移転
    • 鉄道、軌道、バス、その他の運輸機関の廃止又は運行時間の変更等
    • 本人又は配偶者の事業主の命による転勤や出向に伴う別居の回避

<給付制限とは?>

 失業給付は、ハローワークに申請してから1週間の待機期間満了後から受給開始となります。ただし、正当な理由のない自己都合による離職の場合、重責解雇による離職の場合は、待機期間満了後から給付制限期間があり、この期間は失業給付が支給されません。

<新型コロナに世の影響により離職した場合の特例>

 雇用保険の失業給付は、被保険者期間や年齢、離職理由等により給付日数が定められていますが、新型コロナの影響による離職の場合、その日数が特例的に延長されることとなりました。延長される日数は60日ですが、35歳以上45歳未満で給付日数270日の方、60歳未満で給付日数330日の方は30日となっています。
 対象となる方は

  1. 令和2年4月7日以前の離職者…離職理由を問わず全受給者
  2. 令和2年4月8日~5月25日の離職者…特定受給資格者及び特定理由離職者
  3. 令和2年5月26日以降の離職者…特定受給資格者及び特定理由離職者(雇止めによる離職に限る)であり、かつ新型コロナの影響により離職を余儀なくされた方
 1.,2.はすでに離職されている方ですが、3.は今後離職する方も含みます。3.に該当する場合には、離職証明書の具体的事項記載欄に『コロナ関係』と記載する必要があります。また、新型コロナの影響による雇止めによる離職は3.に該当しますが、感染が心配で自発的に離職した場合は該当しません。

【参照】
『給付制限期間が2カ月に短縮されます』厚生労働省
『新型コロナウィルス感染症等の影響に対応した給付日数の延長に関する特例について』厚生労働省

2020.10.12

沖田 眞紀(おきた・まき)

特定社会保険労務士
社労士事務所コンフィデンス

千葉県出身。大手電機メーカーをはじめ、介護施設、建設関連会社等様々な業種で、人事労務を担当。長年の実務経験を活かし、現在は人事労務相談・助成金手続・就業規則作成などを中心に社会保険業務および各種相談業務を行っている。