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No.3999 教育資金贈与の特例は2021年3月まで

 祖父母から孫へなど、教育資金を1,500万円まで非課税で贈与できるのが、「教育資金贈与の特例」です。今後延長されなければ、2021年の3月までで終了するので、利用を考えている方は遅れないように手続きするとよいのではないでしょうか。

● 教育資金口座を利用すると1,500万円までの贈与が非課税に

 一般的に「教育資金贈与の特例」と呼ばれるのが、「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税制度」です。2013年4月1日から2021年3月31日までの特例で、教育資金を父母や祖父母などの直系尊属から一定の方法で贈与された場合には1,500万円までが非課税となります。

 利用するには、この教育資金口座を取扱う信託銀行、銀行、証券会社で手続きを行います。贈与する祖父母などが資金を預け入れ、贈与を受けた孫などが預け入れた資金を払い出す時には、金融機関に領収書などを提出します。

 教育資金として認められるのは以下になります。

1. 学校等(※)に対して直接支払われる費用

  • 入学金、授業料、入園料、保育料、施設設備費又は入学(園)試験の検定料など
  • 学用品の購入費、修学旅行費や学校給食費など学校等における教育に伴って必要な費用など

※ 学校等:学校教育法で定められた幼稚園、小・中学校、高等学校、大学(院)、専修学校及び各種学校、一定の外国の教育施設、認定こども園又は保育所など

2.学校等以外に対して直接支払われる費用
(社会通念上相当と認められるもの。23歳以後については、教育訓練給付金の対象となる受講費用に限られる)

  • 教育(学習塾、そろばんなど)に関する役務の提供の対価や施設の使用料など
  • スポーツ(水泳、野球など)又は文化芸術に関する活動(ピアノ、絵画など)その他教養の向上のための活動に係る指導への対価など
  • 通学定期券代、留学のための渡航費などの交通費
    など

 なお、教育資金口座の契約は、以下のうち最も早い日に終了します。

  1. 30歳に達した日 (学校等に在学または教育訓練を受けている場合を除く)
  2. 30歳以上で、学校等に在学または教育訓練を受ける日があることを、金融機関に届け出なかった場合には、その年の 12月31日
  3. 40歳に達した日
  4. 死亡した日
  5. 口座の残高が0になり、合意に基づき契約を終了する日

 教育資金口座の契約が終了した時に残額がある場合には、原則として残額が贈与税の課税対象になります。

 また、契約が終了する前に祖父母などの贈与者が死亡した場合には、教育費として使われていない金額が相続税の課税対象になります。「23歳未満である場合、学校等に在学している場合、教育訓練給付金の対象となる教育訓練を受けている場合を除く」とされているので、贈与を受けた孫が23歳未満である場合や、在学中などの場合には、贈与してくれた祖父母が亡くなっても残額が相続財産に加算されることはありません。

● 将来の教育資金の贈与や相続対策に利用

 教育資金贈与の特例について確認しましたが、そもそも、「今月までに納めなければいけない授業料を祖父が支払ってくれた」場合のように、教育費が発生する毎に祖父母が負担しても贈与税の対象にはなりません。贈与と見なされるのは、まだ支払うことが決まっていない費用の分なども含めてまとめて教育資金を贈与する場合です。

 将来の教育費もまとめて贈与しておきたい、相続対策として相続財産を減らしておきたいなどの場合にはメリットのある制度ですから、税理士などの専門家や教育資金口座を取り扱う金融機関などに相談してみるとよいのではないでしょうか。

2020.10.12

森田 和子(もりた・かずこ)

FPオフィス・モリタ 代表

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFPR認定者、DCA(確定拠出年金アドバイザー)
大学卒業後、コンピュータソフト会社、生命保険会社勤務を経て、1999年独立。保険や投資信託の販売をしない独立系のファイナンシャル・プランナー事務所としてコンサルティングを行っている。
お金の管理は「楽に、楽しく」、相談される方を「追い詰めない」のがモットー。情報サイト・新聞・雑誌への執筆多数。企業・学校・イベントで行うマネープランセミナー・講演も好評。

FPオフィス・モリタ http://okane-net.com/