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No.3996 2020年9月1日からマイナポイント事業がスタート

● ポイント還元率は25%、上限は5000ポイント

 マイナンバーカード所有者を対象とした「マイナポイント」事業が2020年9月1日、スタートした。キャッシュレス決済で買い物をすると1人当たり最大5000円分のポイントが受け取れる。同事業は、マイナンバーカード普及に向けた取組みの1つ。来年3月までの7ヵ月間に、キャッシュレス決済サービスを提供する決済事業者を通じて電子マネーのチャージやスマートフォンのQRコード決済等で買い物をした場合にポイントが付与される。

 ポイント還元率は25%。上限は5000ポイント(5000円相当)とかなりの高還元率だ。マイナポイントの還元を受けるためには、(1)マイナンバーカードを取得、(2)マイナポイントの予約・申込み、(3)ポイントを受け取る決済事業者を1つ選定、(4)登録した決済事業者を通じてチャージ又は買い物、という一連の手続きが必要になる。つまり、マイナポイントの還元を受けるためには、まずはマイナンバーカードを取得している必要があるわけだ。

 しかし、マイナンバーカードの普及率は伸び悩んでいる。総務省が公表している現状の普及率(人口に対する交付枚数率)をみると、2020年8月1日現在では全国で18.2%。地域差も大きく、最も普及率が高い宮崎県(25.3%)と、最も低い高知県(11.7%)で約2倍の開きがある。マイナポイント事業スタートを受け、政府が今後の普及率向上に期待する。

 なお、マイナポイントの対象者に年齢制限はない。4人家族の場合、最大2万円相当のポイント還元が受けられる。

● マイナポイントの取得・使用は原則非課税

 ところで、個人がマイナポイントを取得・使用した場合の税務上の取扱いはどうなるのだろうか。一般の小売店でも、買い物客が商品を購入する際に、同店が発行するポイントを付与し、次回以降の買い物の際に、例えば、1ポイント1円に換算して、決済代金の値引きや景品との交換などに使用できるところも多い。

 そこで、個人が、そのポイントを商品購入の際に使用した場合、その取得又は使用したポイントについての取扱いが気になるところだ。

 国税庁によると、「一般的に企業が発行するポイントのうち決済代金に応じて付与されるポイントについては、そのポイントを使用した消費者にとっては通常の商取引における値引きと同様の行為が行われたものと考えられるので、こうしたポイントの取得又は使用については、課税対象となる経済的利益には該当しないものとして取り扱う」こととしており、非課税となるとしている。

 つまり、通常の商取引における値引きは、原則課税対象となる経済的利益には該当しないものとして取り扱っている。ただし、ポイント付与の抽選キャンペーンに当選するなどして臨時・偶発的に取得したポイントは、通常の商取引での値引きと同様の行為が行われたものとは考えられないので、そのポイントを使用した場合には、その使用したポイント相当額を使用した日の属する年分の一時所得の金額の計算上、総収入金額に算入する必要がある。

2020.10.01

浅野 宗玄(あさの・むねはる)

株式会社タックス・コム代表取締役
税金ジャーナリスト
1948年生まれ。税務・経営関連専門誌の編集を経て、2000年に株式会社タックス・コムを設立。同社代表、ジャーナリストとしても週刊誌等に執筆。著書に『住基ネットとプライバシー問題』(中央経済社)など。
http://www.taxcom.co.jp/
○タックス・コム企画・編集の新刊書籍『生命保険法人契約を考える』
http://www.taxcom.co.jp/seimeihoujin/index.php