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No.3994 2019年の地震保険付帯率は17年連続増加で過去最高

● 津波被害の可能性のある県や地震被害にあった県が地震保険付帯率の上位に

 損害保険料率算出機構によると、2019年度の地震保険付帯率は全国平均で66.7%と、統計を取り始めた2001年度(33.5%)以降過去最高の数値となり、さらに2002年度以降17年連続の増加と公表。

 地震保険の付帯率とは、「当該年度に契約された火災保険(住宅物件)契約件数のうち、地震保険を付帯している件数の割合」と定義されているものです。

【地震保険 付帯率】

 さらに2019年における都道府県別の付帯率を、付帯率の高い順から確認してみてみましょう。

  1. 宮城県(87.0%)
  2. 高知県(86.8%)
  3. 宮崎県(83.0%)
  4. 熊本県(82.3%)
  5. 鹿児島県(81.7%)
  6. 岐阜県(77.7%)
  7. 徳島県(75.3%)
  8. 福島県(75.2%)
  9. 愛知県(74.6%)
  10. 鳥取県(74.5%)

 ご覧の通り1から3番目までは、津波被害の可能性のある県で占めているほか、4番目には2016年に地震の被害が遭った熊本県が入っています。  参考までに2019年で地震保険の付帯率が低い都道府県をお伝えすると、最も低かったのが長崎県(52.0%)で、次いで沖縄県(57.6%)、佐賀県(58.4%)の順となっていました。

 なおこれらの統計は各種共済が含まれておらず、損害保険会社の「地震保険」のみが対象となっているようですが、長期的な増加傾向を見る限り、国民の災害への備えが進んでいる結果だと言えます。

● 地震保険の世帯加入率も増加

 地震保険の統計には、付帯率のほかに世帯加入率も公表されており、こちらも年々増加している状況です(下のグラフ参照)。世帯加入率とは、全世帯に対してどの程度の世帯が地震保険を契約しているか計算したものです。「地震保険保有契約件数を住民基本台帳に基づく世帯数で除した数値」が表されています。

【地震保険 世帯加入率】

 世帯加入率が付帯率より低いことが気になった方もいると思います。

 理由については、損害保険料率算出機構のHPに次のように記載されています。

 「付帯率は、火災保険にあわせて地震保険を付帯している割合を計算したものです。世帯加入率は、全世帯のうち地震保険を契約している世帯の割合を計算したものです。数値には共済等に加入している世帯は含まれないため、(付帯率と比較すると)低い傾向を示しています。」

 このような理由から世帯加入率が低いことが、必ずしも地震による損害への備えが不十分ということにつながらないようです。

● 2021年1月には地震保険料の値上げも

 地震への備えが進む一方、2021年1月には地震保険の値上げが予定されています。次回は、基本料率の改定を3段階に分けて行う中の3回目にあたる値上げです。基本料率が全国平均で+5.1%引き上げられるとともに、長期係数の見直しにより実質的には+割引が縮小されます。地震保険の付帯率が高くなることは地震保険の運営上望ましい方向とは言えますが、一方で加入する側にとっては保険料の負担についての課題を考えていく必要があると言えるでしょう。

2020.09.23

小沢 美奈子(おざわ・みなこ)

K&Bプランニング代表 ファイナンシャルプランナー(AFP)/ライター

法政大学卒業後、損害保険会社にて、人材教育部門で社員教育・研修講師など約12年間勤務の後、外資系損害保険会社で営業職に就く。ファイナンシャルプランナー取得後は、独立系FP事務所、住宅メーカーを経て独立。
Webや書籍などで記事執筆、セミナー講師、個人向けコンサルティングを行うほか、フォトライターとしても活躍。趣味はカメラ。

ホームページ http://kandbplanning.org/

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