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No.3989 新型コロナ、職場での感染拡大を防止するには?

● 職場クラスター累計50人の事業場も

 職場でのクラスター発生のニュースは、大きく報道されており、見聞きした方も多いだろう。報道によると、ある会社では全従業員約100人のうち、累計50人が感染したとのこと。万が一自分の会社でこのようなクラスターが発生してしまえば大変なことになるが、従業員が感染する可能性をゼロにすることができない中で、職場において感染拡大を防止するにはどうすればいいのかということが重要になってくる。

 厚生労働省は、8月7日に「職場における新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するためのチェックリスト」を発表した。そのチェックリストでは、新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するための基本的な対策の実施状況について、「はい・いいえ」で確認していくものとなっている。事業場の実態に即して、全員(事業者と労働者)がすぐにできることを確実に実施することが大切であると、同省では訴えており、中小企業においても早急にこのチェックリストを自主点検用に使ってもらいたいところである。

● 事業場のトップの表明

 事業場のトップ、すなわち経営陣や工場長などのリーダーが新型コロナウイルス感染症の拡大防止に対してどのような姿勢で対応しているかが大事である。感染症の拡大防止に積極的に取り組むことを表明しなければ、一人ひとりの従業員に伝わらないし、意識を変えることはできない。

 中小企業においては感染防止のためのしっかりした体制を整えることはなかなか難しく、専門の担当者もいないところもあるかもしれないが、とにかく担当責任者を決めて、事業場トップとともに対策をスピーディーに進めていくことが求められている。

● 基本的対策を重視し、できることから実行

 感染防止のためには、基本的な対策が重要であることはいうまでもない。チェックリストにおいても3つの基本ということで、①身体的距離の確保、②マスクの着用、③手洗いについては、確認項目としてあがっている。

 また、3つの密(密集、密接、密閉)を回避する行動について全員に周知し、職場以外も含めて回避の徹底を求めているかという項目もある。従業員に内容を理解してもらい、実行してもらうのは難しいことではない。

 また、日常的な健康状況の確認などは簡単にできそうだ。チェックリストの中には、「出勤前に体温を確認するよう全員に周知し、徹底を求めている」という項目もあるが、これも全員に周知し、完璧に実行してもらうためにはその伝え方も重要である。

 テレワークやオンライン会議の実行、ローテーション勤務の導入、時差出勤などで通勤電車の混雑を回避することなども対策の1つといえるだろう。このあたりの対策になってくると、業種や職種、従業員規模などによってはできないこともあるかもしれないので、まずは職場の状況に合わせてできることから実行してみるのがよいだろう。

参照: 厚生労働省「職場における新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するためのチェックリスト」

2020.09.14

庄司 英尚(しょうじ・ひでたか)

株式会社アイウェーブ代表取締役、アイウェーブ社労士事務所 代表
社会保険労務士 人事コンサルタント

福島県出身。立命館大学を卒業後、大手オフィス家具メーカーにて営業職に従事。その後、都内の社会保険労務士事務所にて実務経験を積み、2001年に庄司社会保険労務士事務所(現・アイウェーブ社労士事務所)を開業。その後コンサルティング業務の拡大に伴い、2006年に株式会社アイウェーブを設立。企業の業績アップと現場主義をモットーとして、中小・中堅企業を対象に人事労務アドバイザリー業務、就業規則の作成、人事制度コンサルティング、社会保険の手続き及び給与計算業務を行っている。最近は、ワーク・ライフ・バランスの導入に注力し、残業時間の削減や両立支援制度の構築にも積極的に取り組んでいる。

公式サイト http://www.iwave-inc.jp/
社長ブログ http://iwave.blog73.fc2.com/