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No.3985 マイナンバーカードが健康保険証代わりに

● 来年3月、一部の医療機関・薬局で利用開始

 国はマイナンバーカードの普及をめざしています。その一環として来年3月から、マイナンバーカードが健康保険被保険者証(以下、健康保険証)の代わりに利用できるようになります。その申込受付がこのほど開始されました。

 この健康保険証は、協会けんぽ、組合健保、共済組合はもとより、国民健康保険や後期高齢者医療制度なども対象です。

 医療機関で受診する際、初診のときと再診で月をまたいだときに、健康保険証を窓口で提示しますが、この申込みをしておけば、2021年3月からマイナンバーカードが健康保険証として利用できます。マイナンバーカードが健康保険証に取って代わるのではなく併用です。健康保険証はこれまで同様利用でき、来年3月から、オンライン資格確認が導入されている医療機関・薬局で、健康保険証のほかにマイナンバーカードが健康保険証代わりに使えるようになります。

 オンライン資格確認を導入している医療機関・薬局の一覧は、今後、厚生労働省・社会保険診療報酬支払基金のホームページに掲載されます。また、医療機関・薬局においても、マイナンバーカードが使えることがわかるポスター等が院内に掲示される予定です。一方、オンライン資格確認が導入されていない医療機関・薬局では引き続き健康保険証の提示が必要です。国はオンライン資格確認の導入など医療機関・薬局のシステム整備を支援しており、2023年3月末にはおおむね全ての医療機関・薬局でマイナンバーカードが健康保険証代わりになる見込みです。

● 利用申込みはマイナポータルで

 皆さんは受診をされるとき、窓口の方に健康保険証を渡していませんか。マイナンバーカードを健康保険証代わりにする場合は、渡さずに患者さん自らがマイナンバーカードを窓口に設置されたカードリーダーに置きます。顔写真の確認が自動的に行われ(顔認証付きカードリーダーの場合)、同時に最新の保険資格をオンラインで取得します。顔認証ができないカードリーダーの場合は、4桁の暗証番号を入力して本人確認を行います(窓口職員の目視による確認も可能)。

 マイナンバーカードに書かれている12桁の個人番号の情報が漏洩するのではなかと心配される方もいるかと思いますが、医療機関等では個人番号は必要がないので取り扱わず、マイナンバーカードのICチップ内の利用者証明用電子証明書のデータを利用します。なお、利用者証明用電子証明書は、マイナポータルへのログインやコンビニでの公的な証明書の交付などの際、本人であることを証明する電子証明書です。

 また、転職・結婚・引越した際など、健康保険証の発行に時間がかかりますが、保険者での手続きが完了すれば、健康保険証が手元に届く前でもマイナンバーカードが対象となっている医療機関や薬局で利用できます。

 利用申込みはパソコンやスマートフォンから、「マイナポータル」で行います(10万円の特別定額給付金の申請の際、マイナポータルのアプリをインストールされた方も多いのではありませんか)。本人がパソコンやスマホを持っていない場合は、家族など本人以外のパソコンやスマホからでも申込みが可能です。パソコンやスマホを利用できない方は、市区町村が設置しているマイナポータル用端末から申し込めます。

 このマイナポータルでは、2021年10月から薬剤情報・医療費情報の閲覧、2021年分確定申告から医療費控除の手続きで医療費情報の自動入力が可能になる予定です。なお、高額療養費制度を利用する場合、これまでは事前に保険者に限度額適用認定証の申請をしなければなりませんでしたが、オンライン資格確認が導入された医療機関では原則として、申請なしで限度額が適用されるようになります。

 セキュリティ面の強化や利用・操作の簡素化など、行政も力を入れているようです。人口減少による人手不足の解消の一助にもなるかもしれません。ご興味がある方は是非ご検討を!

参照: マイナポータル「マイナンバーカードが健康保険証として利用できるようになります!」

2020.09.07

半田 美波(はんだ・みなみ)

社会保険労務士
みなみ社会保険労務士事務所 代表、株式会社サンメディックス 代表取締役
診療所で医療事務職として勤務した後、医療法人事務長、分院の設立業務担当を経て、2003年に医療機関のサポート会社・(株)サンメディックス設立。2004年にみなみ社会保険労務士事務所を設立。医療機関に詳しい社労士として知られる。