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No.3978 令和2年10月から始まる年末調整手続きの電子化

● バックオフィス業務の簡便化をPR

 国税庁は年末調整手続きの電子化をPRしている。年末調整手続きの電子化とは、年末調整の際に、(1)従業員が、保険会社等から控除証明書等をデータで取得し、(2)そのデータを「年調ソフト」等に取り込んで従業員が保険料控除申告書などをデータで作成、(3)控除額が自動計算された保険料控除申告書等を勤務先にデータで提供し、(4)勤務先において、提供されたデータを基に年税額を自動計算し、提供されたデータを保管するもの。

 国税庁は、年末調整手続きの電子化のパンフレットを公表して、令和2年10月以降、その年末調整手続きの電子化によるバックオフィス業務の簡便化をPRしている。

● 保管コストの削減など勤務先のメリット

 それによると、勤務先のメリットとしては、保険料控除や配偶者(特別)控除の控除額の検算が不要、控除証明書等のチェックが不要(従業員が控除証明書等データを利用した場合)、従業員からの問合せが減少、年末調整関係書類の保管コストの削減などを掲げている。

 例えば、従業員が、年調ソフトの控除額の自動計算機能を利用して保険料控除申告書や配偶者控除等申告書を作成することにより、これまで給与担当者の負担となっていた、控除額の検算事務が不要となる。また、従業員が保険料控除申告書の作成の際に控除証明書等データを利用すれば、給与担当者が毎年行っていた、従業員が提出した保険会社等の控除証明書等(書面)との突合作業が不要となる。

 さらに、年調ソフトの入力支援機能や、今後設置予定の「年末調整電子化ヘルプデスク(仮称)」を利用することにより、従業員から給与担当者への問合せが減少することが見込まれる。年末調整関係書類の保管コストの削減は、従業員から提供されたデータを原本として保管するため、書類の保管が不要となる。ただし、従業員から書面で提出を受けた書類がある場合はその書類の保管が必要となる。

● 控除額等の記入・手計算不要など従業員のメリット

 一方、従業員のメリットとしては、控除額等の記入・手計算が不要、控除証明書等データを紛失しても再交付依頼が不要、データ提出なら押印が不要、勤務先からの問合せが減少することなどを挙げている。

 例えば、これまで従業員が手計算していた配偶者(特別)控除や生命保険料控除の控除額について、年調ソフトに必要な項目を入力又は控除証明書等データを取り込むことにより、自動計算することができる。

参考:「年末調整手続の電子化に関するパンフレット」

2020.08.24

浅野 宗玄(あさの・むねはる)

株式会社タックス・コム代表取締役
税金ジャーナリスト
1948年生まれ。税務・経営関連専門誌の編集を経て、2000年に株式会社タックス・コムを設立。同社代表、ジャーナリストとしても週刊誌等に執筆。著書に『住基ネットとプライバシー問題』(中央経済社)など。
http://www.taxcom.co.jp/
○タックス・コム企画・編集の新刊書籍『生命保険法人契約を考える』
http://www.taxcom.co.jp/seimeihoujin/index.php