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No.3975 雇用調整助成金の収益計上時期

● 雇用調整助成金は未収計上

 雇用調整助成金とは、経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業者が、労働者に対して休業等を行い、労働者の雇用維持を図った場合に休業手当等の一部を国が助成する制度である。

 従前からある制度だが、今般の新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた特例措置として、受給要件が緩和されたので、多くの中小企業が利用している。

 さて、この雇用調整助成金をいつ収益計上すべきかというと、「その給付の原因となった休業等の事実があった日の属する事業年度」となる。その根拠は法人税基本通達2-1-42をご参照いただきたい。

<法人税基本通達2-1-42(法令に基づき交付を受ける給付金等の帰属の時期)>

法人の支出する休業手当、賃金、職業訓練費等の経費を補填するために雇用保険法、労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律、障害者の雇用の促進等に関する法律等の法令の規定等に基づき交付を受ける給付金等については、その給付の原因となった休業、就業、職業訓練等の事実があった日の属する事業年度終了の日においてその交付を受けるべき金額が具体的に確定していない場合であっても、その金額を見積り、当該事業年度の益金の額に算入するものとする。

(注)法人が定年の延長、高齢者及び身体障害者の雇用等の雇用の改善を図ったこと等によりこれらの法令の規定等に基づき交付を受ける奨励金等の額については、その支給決定があった日の属する事業年度の益金の額に算入する。

 雇用調整助成金は経費補填としての性質の助成金であるため、収益費用を対応させる必要がある。

 そこで問題となるのは、期中に助成金の申請をしていて、支給決定通知がまだ出ていない、つまり期をまたぐケースである。

 例えば、8月決算法人が8月に助成金の申請手続きを行った場合であるが、この場合は忘れずに見積金額を未収計上する必要がある。ただし、実務上、決算の申告は2か月後になるので、その頃には支給決定通知が到着しているものと思われる。

● 所得拡大促進税制の適用上、控除必要

 所得拡大促進税制における国内雇用者に対する給与等の支給額の計算において、「他の者から支払いを受ける金額」は控除する必要がある。雇用調整助成金はこの「他の者から支払いを受ける金額」に該当し、控除する必要があるので、ご注意いただきたい。

2020.08.24

今村 京子(いまむら・きょうこ)

マネーコンシェルジュ税理士法人
税理士
三重県出身。金融機関・会計事務所勤務を経て現法人へ。
平成15年6月税理士登録。法人成り支援や節税対策・赤字対策など、中小企業経営者の参謀役を目指し、活動中。
年に数回の小冊子発行など、事務所全体で執筆活動にも力を入れている。
プライベートでは、夫は税理士の今村 仁で2女の母。趣味は歌舞伎鑑賞。

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