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No.3969 コロナ禍での収入減少で受けられる国民年金・国民健康保険料の減免

 新型コロナウイルス感染症の影響により、仕事や収入に影響を受けた方は少なくありません。2020年4月に閣議決定された「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」において、「感染症の影響により一定程度収入が下がった方々等に対して、国民健康保険、国民年金等の保険料の免除等を行う」ことが示されています。これを踏まえ、保険料減免の申請受付が開始されています。詳しく確認していきましょう。

● 国民年金保険料の減免

 国民年金については、以下の2つの要件を満たして国民年金保険料の納付が困難となった場合の臨時特例免除申請の受付手続きが2020年5月から開始されています。

  1. 2020年2月以降に、新型コロナウイルス感染症の影響により収入が減少したこと
  2. 2020年2月以降の所得等の状況から見て、当年中の所得の見込みが、現行の国民年金保険料の免除等に該当する水準になることが見込まれること

 現行の保険料免除には、「4分の1免除」、「半額免除」、「4分の3免除」、「全額免除」の4つがあり、4分の1免除となる所得の基準が最も高く、全額免除が最も低くなっています。所得が「158万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等」の範囲内であれば、4分の1免除の対象になり、この他に納付猶予の制度もあります。制度を利用したい場合には、市区町村の国民年金担当窓口に相談されるとよいでしょう。

● 国民健康保険料の減免

 国民健康保険・介護保険・後期高齢者医療保険の保険料減免の対象となるのは、2019年度分と2020年度分の保険料で、納期限が2020年2月1日から2021年3月31日までのものです。

 新型コロナウイルス感染症により、主たる生計維持者が死亡、または重篤な傷病を負った世帯は保険料の全額が免除されます。

 それ以外の場合は、主たる生計維持者の事業収入等(事業収入、不動産収入、山林収入、給与収入)の減少が見込まれ、次の1~3までの全てに該当する世帯が減免の対象となります。

  1. 事業収入等の種類ごとに見た収入のいずれかが、前年に比べて10分の3以上減少する見込みであること(保険金や損害賠償等により補填される金額を除く)
  2. 前年の合計所得金額が1,000万円以下であること
  3. 収入減少が見込まれる種類の所得以外の前年の所得の合計額が400万円以下であること

 「当該世帯の被保険者全員について算定した保険料額」、「減少することが見込まれる事業収入等に係る前年の所得額」、「被保険者の属する世帯の主たる生計維持者及び当該世帯に属する全ての被保険者につき算定した前年の合計所得金額」、「前年の合計所得金額」により、保険料の2/10~8/10の減額または全額免除が決定されます。例えば、前年の合計所得金額が550万円以下の場合は、算出された保険料の6/10が減額されます。

● 市区町村の窓口で相談を

 保険料の減免を受けるには、市区町村の国民年金や国民健康保険などの窓口へ申請します。既に保険料を支払っていても、減免の対象となる場合があるので相談してみましょう。

 また、今回の新型コロナウイルス感染症による減免を受けられない場合でも、所得の減少などによる保険料減免の制度もあるので、経済的に厳しい場合などには窓口で相談してみることをおすすめします。

2020.08.03

森田 和子(もりた・かずこ)

FPオフィス・モリタ 代表

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFPR認定者、DCA(確定拠出年金アドバイザー)
大学卒業後、コンピュータソフト会社、生命保険会社勤務を経て、1999年独立。保険や投資信託の販売をしない独立系のファイナンシャル・プランナー事務所としてコンサルティングを行っている。
お金の管理は「楽に、楽しく」、相談される方を「追い詰めない」のがモットー。情報サイト・新聞・雑誌への執筆多数。企業・学校・イベントで行うマネープランセミナー・講演も好評。

FPオフィス・モリタ http://okane-net.com/