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No.3918 2025年には約5人に1人が認知症? 今すぐ知っておきたい認知症の基本

 厚生労働省が公表している「65歳以上の認知症高齢者数と有病率の将来推計」によると、令和7(2025)年には認知症高齢者数が700万人になり、65歳以上の高齢者の約5人に1人は認知症になるとされています。こうした数字を見る限り、自分や身近な人が認知症になる可能性は十分に考えられると言えそうですが、多くの方は認知症に対してどのように感じているのでしょうか。

 内閣府が実施した「認知症に関する調査(令和元年12月調査)」※の内容より、3つの質問を抜粋して回答をご紹介します。なお、同調査では、全国の18歳以上の1,632人から得た回答を掲載しています。

※ 「認知症に関する調査(令和元年12月調査)」(内閣府)(https://survey.gov-online.go.jp/tokubetu/r01/r01-ninchisho.pdf)を加工して作成

● 認知症になったら施設でのサポートを希望する人が上昇

 まずは「もしあなたが認知症になったとしたら、どのように暮らしたいですか?」という質問の回答を確認してみましょう。

順位 回答 令和元年12月
1 認知症になっても、医療・介護などのサポートを利用しながら、今まで暮らしてきた地域で生活していきたい 28.9%
(30.3%)
2 認知症になると、周りの人に迷惑をかけてしまうので、介護施設で必要なサポートを利用しながら暮らしたい 27.7%
(27.5%)
3 認知症になると、身の回りのことができなくなってしまうので、介護施設で必要なサポートを利用しながら暮らしたい 21.6%
(20.2%)
4 認知症になっても、できないことを自ら工夫して補いながら、今まで暮らしてきた地域で、今までどおり自立的に生活していきたい 12.9%
(13.4%)
5 認知症になったら、誰にも迷惑をかけないよう、ひとりで暮らしていきたい 5.8%
(4.6%)

※ ( )は平成27年9月の回答結果

 1位は「認知症になっても、医療・介護などのサポートを利用しながら、今まで暮らしてきた地域で生活していきたい(28.9%)」となっていますが、その割合は前回の調査の30.3%より減っている状況です。

 一方、2位と3位については「介護施設で必要なサポートを利用しながら暮らしたい」という部分が共通しており、いずれも平成27年9月の回答より割合がわずかながら上昇しています。全体を通して言えることは「周りの人に迷惑をかけないよう、施設でのサポートを希望する人が増えている」ということではないでしょうか。

● 本人も家族も精神的負担を懸念していている

 次に、「もし、あなたご自身が認知症になったとしたら、どのようなことに不安を感じると思いますか」という質問に対して、本人自身と家族それぞれの回答を見てみたいと思います。

※ 上位4項目、( )内は平成27年9月の回答結果

【本人自身】

順位 回答 令和元年12月
1 家族に身体的・精神的負担をかけるのではないか 73.5%
(74.9%)
2 家族以外の周りの人に迷惑をかけてしまうのではないか 61.9%
(56.5%)
3 家族や大切な思い出を忘れてしまうのではないか 57.0%
(55.8%)
4 買い物や料理、車の運転など、これまでできていたことができなくなってしまうのではないか 56.4%
(56.8%)

【家族】

順位 回答 令和元年12月
1 ストレスや精神的負担が大きいのではないか 65.1%
(62.5%)
2 家族以外の周りの人に迷惑をかけてしまうのではないか 58.3%
(51.4%)
3 経済的負担が大きいのではないか 49.7%
(49.9%)
4 自分(あなた)や大切な思い出を忘れてしまうのではないか 47.1%
(41.7%)

 「本人自身」が不安に思うことの1~3位における全体像については、「家族を含めた第三者に迷惑をかけてしまうのではないか」ということが主となっています。

 一方「家族」については、精神面(1位)や経済面(3位)のほか、第三者へ迷惑をかけてしまうことへの不安感(2位)など、不安要素は多岐にわたっています。

 「65歳以上の高齢者の5人に1人が認知症になる」時代の到来を想定し、これからはより多くの人が認知症への理解を深め、知識を備えておくことが重要だと言えます。少なくても、認知症とはどういう病気なのか、もし家族や自分がなった場合はどうしたらいいか、自治体に頼れるサポートはあるのかなど、いざという慌てないための対応策を知っておくべきでしょう。

 以下に認知症に関する国や自治体が公開しているWebサイトで、主なものをご紹介します。

参考:
認知症に関する施策の全体像 厚生労働省「認知症施策」
認知症について 政府広報オンライン「もし、家族や自分が認知症になったら知っておきたい認知症のキホン」
直接認知症について相談したい場合の窓口 地域包括支援センター

2020.04.27

小沢 美奈子(おざわ・みなこ)

K&Bプランニング代表 ファイナンシャルプランナー(AFP)/ライター

法政大学卒業後、損害保険会社にて、人材教育部門で社員教育・研修講師など約12年間勤務の後、外資系損害保険会社で営業職に就く。ファイナンシャルプランナー取得後は、独立系FP事務所、住宅メーカーを経て独立。
Webや書籍などで記事執筆、セミナー講師、個人向けコンサルティングを行うほか、フォトライターとしても活躍。趣味はカメラ。

ホームページ http://kandbplanning.org/

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