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No.3907 健康に不安があるなら携行したい「救急医療カード」

 世界中を震撼させている新型コロナウイルス感染症。いつ、どこで、かかってしまうかもしれないと不安を感じる人は少なくありません。ただむやみに心配するのは問題ですが、いつ終息するのかわからない、予断を許さない状況だからこそ、自分の身を守ることを考えておく必要があるのではないでしょうか。イザという時にいかに正しく自分の身体の状態を医療関係者に伝えられるかということも、心がけておきたいことのひとつです。

● イザという時に役立つカードとは

 「救急医療カード」もしくは「救急医療情報カード」というのをご存じでしょうか(地域によっては「緊急医療情報カード」など呼称が異なります)。

 ちょっと堅苦しいイメージですが、各地方自治体等で発行しているカードや用紙などで、おもに高齢者を対象に、基礎疾患や現在飲んでいる薬などの情報を記載しておくことで、自宅で倒れた場合をはじめ、新型コロナウイルスの陽性反応が出て即入院となったり、旅先で急病やケガをしてしまった時にも役立ちます。

 たとえば八王子市で配布している「救急医療情報(用紙)」を見てみると、本人の基本データのほかに、現在治療中の病気、過去に医師から言われた病気、服用している薬、かかりつけの病院、緊急連絡先が記入でき、さらに延命措置の希望など「もしもの時に医師に伝えたい事」を選択できるようになっています。

 その他の自治体でもこのようなものを作成、配布していますので確認してみてください。

● 海外で利用できるワールドメディカルカード

 世界的には、「ワールドメディカルカード」が広く普及しており、スイス・ジュネーブに本部を置き、現在、アメリカ、ノルウェー、スウェーデン、デンマーク、ドイツ、ギリシャ、イギリス、フランス、オランダ、ベルギー、ルクセンブルク、日本で利用されています。日本の場合は、ワールドメディカルセンタージャパン(株)が取り扱っています。

 基本的に、記載内容は日本の同様のカードと同じですが、その他にアレルギー反応や臓器提供の意思なども記入できるようになっています。病名や服用薬の情報では、英語での表記はもちろんのこと、WHOの国際医療コード(ICD-10分類やATC分類)も併記できるため、海外旅行の際の強い味方となります。

 形状は、カードだけでなく、モバイルやWeb対応もあるため、旅行の際に、自分の携行しやすい、利用しやすい方法を選べます。

● 自分の安全は自分で守る

 「もしも」の事態は、いつ訪れるのか、誰にもわかりません。基礎疾患がある人はもちろんのこと、高齢者、海外へ出かける人など、老若男女問わず自分の医療情報を携行し、速やかに適切な治療が受けられるよう備えておくことが大切です。これらの情報は、家族全員で共有すると大いに役立ちます。身近な家族だけでなく、離れて暮らす家族の「もしも」にも役立つのではないでしょうか。

2020.04.06

飯田 道子(いいだ・みちこ)

海外生活ジャーナリスト/ファイナンシャル・プランナー(CFP)
金融機関勤務を経て96年FP資格を取得。各種相談業務やセミナー講師、執筆活動などをおこなっている。主な著書には、「宅建資格を取る前に読む本」(総合資格)、「介護経験FPが語る介護のマネー&アドバイスの本」(近代セールス社)などがある。
海外への移住や金融、社会福祉制度の取材も行う。得意なエリアは、カナダ、韓国など。