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No.3903 国の教育ローン
~入学資金は入学月の翌月末まで融資可能~

 進級・進学の季節を迎え、子育て中のご家庭では出費が増えがちです。もしもお金を借りるのであれば、教育ローンの利用を検討してみましょう。比較的低金利のうえ、無担保で貸付を受けられます。教育ローンは民間の金融機関にもありますが、今回は「国の教育ローン」について紹介します。

● 子ども1人につき350万円まで

 国の教育ローンは日本政策金融公庫が行う教育一般貸付の名称です。「国の」と付いているように、日本政策金融公庫は100%政府出資の政策金融機関です。このローンは政府広報として新聞に掲載されることもありますが、知らない保護者の方も多いようです。

 融資限度額は子ども1人につき350万円以内、海外留学資金(一定の条件付き)の場合は450万円以内です。例えば、長男のために350万円を借りたうえで、次男のために350万円を借りることができます。

 ただし、一度に借りることができるのは、「今後1年間に必要な教育費」です。今年と来年に150万円ずつ借りたい場合に、2年分まとめて300万円を借りることはできません。今年150万円を借入れ、来年また150万円の借入れを申し込みます。

 高校、大学、大学院、専門学校などの教育費が対象になり、使いみちは入学金や授業料などの学校納付金に限られません。受験料や交通費・宿泊費などの受験にかかった費用、家賃や敷金などの在学のため必要となる住居費用、教科書代、パソコン購入費、通学費用、学生の国民年金保険料などにも使うことができます。

● 世帯年収が高ければ利用不可

 一般的に民間の金融機関のローンでは、利用者の年収に上限は設けられていません。しかし、国の教育ローンには世帯年収の上限額があり、年収の高い方は利用することができません。

 例えば、子どもが1人なら世帯収入790万円(所得590万円)以下、子どもが2人なら世帯収入890万円(680万円)以下の人が利用できます。勤続年数が3年未満、居住年数が1年未満、自宅外通学、単身赴任、借入金返済の負担率が30%超、大規模災害での被災などに該当する場合には、所得上限額が990万円(所得770万円)に緩和されます。

 なお、収入が上限額内であれば必ず融資が受けられるわけではなく、収入や借入、住宅ローンの返済や公共料金の支払の状況などの審査があります。

● 低金利、固定金利で母子家庭、父子家庭などへの優遇も

 国の教育ローンの貸出金利は低く抑えられており、2019年11月1日現在の金利は1.66%です。固定金利なので、最長15年の返済期間の間、返済額が変わることはありません。

 母子家庭、父子家庭、世帯年収200万円(所得122万円)以内の方、子どもが3人以上で世帯年収500万円(所得346万円)以内の方は優遇されるようになっており、2019年11月1日現在の金利は1.26%、返済期間は最長18年です。

 現在は低金利なので、民間の金融機関の教育ローンも金利は低く抑えられていますが、変動金利が主流です。変動金利で返済額が増減することを不安に感じるようであれば、返済額が変わらない固定金利の方が安心できるのではないでしょうか。

 入学金の納入締切日に間に合いそうもなくて、あわてて金利の高いカードローンで借りてしまった方がいるかもしれません。そのような場合には、金利の低い教育ローンで借り換えることを検討しましょう。国の教育ローンでも、入学資金については入学する月の翌月末まで融資を受けられます。

参考: 日本政策金融公庫「教育一般貸付(国の教育ローン)」

2020.04.01

森田 和子(もりた・かずこ)

FPオフィス・モリタ 代表

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFPR認定者、DCA(確定拠出年金アドバイザー)
大学卒業後、コンピュータソフト会社、生命保険会社勤務を経て、1999年独立。保険や投資信託の販売をしない独立系のファイナンシャル・プランナー事務所としてコンサルティングを行っている。
お金の管理は「楽に、楽しく」、相談される方を「追い詰めない」のがモットー。情報サイト・新聞・雑誌への執筆多数。企業・学校・イベントで行うマネープランセミナー・講演も好評。

FPオフィス・モリタ http://okane-net.com/