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No.3865 国外中古建物を利用した税軽減封じ込め

 令和元年12月12日に、与党から「令和2年度税制改正大綱」が発表された。その中から、今回は「国外中古建物の不動産所得に係る損益通算等の特例の創設」を取り上げる。

● 国外中古建物を利用した税軽減封じ込めの経緯

 アメリカ合衆国・英国等では、日本よりも建物が長期間使用されるため、日本国内とは耐用年数が異なる。しかし、日本の税法では、国外に所在する建物に対しても簡便法等に基づき国内に所在する建物と同一の耐用年数を適用できるため、賃貸料収入を上回る減価償却費を計上することができる。これにより、この損失金額を給与所得等の総合課税に属する他の所得金額と損益通算を行って所得税額を減少させることについて、かねてより会計検査院から指摘されていた。

● 改正内容

 令和2年度税制改正大綱によると、国外中古建物の不動産所得に係る損益通算等の特例が創設される。

 個人が、令和3年以後の各年において、国外中古建物から生ずる不動産所得を有する場合において、その年分の不動産所得の金額の計算上国外不動産所得の損失の金額があるときは、その国外不動産所得の損失の金額のうち、国外中古建物の償却費に相当する金額の部分は、所得税に関する法令の規定の適用について、生じなかったものとみなされる。つまり、これまで多額な減価償却費により損失になっていた場合、その損失全額を給与所得等と損益通算できなくなる。

◇ 「国外中古建物」とは、個人において使用され、または法人において事業の用に供された国外にある建物であって、個人が取得をしてこれをその個人の不動産所得を生ずべき業務の用に供したもののうち、不動産所得の金額の計算上その建物の償却費として必要経費に算入する金額を計算する際の耐用年数を簡便法等の方法により計算したものをいう。

◇ 「国外不動産所得の損失の金額」とは、不動産所得の金額の計算上生じた国外中古建物の貸付けによる損失の金額(その国外中古建物以外の国外にある不動産等から生ずる不動産所得の金額がある場合には、その損失の金額をその国外にある不動産等から生ずる不動産所得の金額の計算上控除してもなお控除しきれない金額)をいう。

 また、この特例の適用を受けた国外中古建物を譲渡した場合における譲渡所得の金額の計算上、その取得費から控除することとされる償却費の額の累計額からは、この特例によりなかったものとみなされた償却費に相当する部分の金額を除くこととし、その他の所要の措置が講じられる。つまり、なかったものとみなされた償却費金額相当は、譲渡所得の計算上必要経費とされる。

※ 令和2年度税制改正大綱については、国会を通過するまでは確定事項ではありません。

2020.01.20

今村 京子(いまむら・きょうこ)

マネーコンシェルジュ税理士法人
税理士
三重県出身。金融機関・会計事務所勤務を経て現法人へ。
平成15年6月税理士登録。法人成り支援や節税対策・赤字対策など、中小企業経営者の参謀役を目指し、活動中。
年に数回の小冊子発行など、事務所全体で執筆活動にも力を入れている。
プライベートでは、夫は税理士の今村 仁で2女の母。趣味は歌舞伎鑑賞。

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