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No.3859 台風被害を受けた大学受験生の入学検定料や入学金の免除措置

 2020年度のセンター試験を終えると、いよいよ大学の一般入試が本格化します。受験料は一校あたり約3万5,000円かかります。複数校を受験する一般入試では受験費用だけでも数十万円になることが多く、入学金を納める前の大きな負担となります。

 まして、台風などにより大きな被害を受けた方は、生活を立て直すのにもお金がかかり、受験費用まで捻出できるのか、たとえ合格できても進学させることができるのかと不安に思われているのではないでしょうか。

 被災した方を対象に受験料や入学金を免除する大学があります。進学の夢をあきらめることはありません。使える制度は積極的に利用しましょう。

● 2019年に台風被害を受けた受験生の入学検定料を免除

 2019年の台風15号や19号は甚大な被害をもたらしました。被災した受験生について、入学検定料や入学金などを免除する大学があります。

 例えば、専修大学では、「豪雨や大規模な地震等により激甚災害の被害を受けた方で本学への志願を希望される方に、令和2年度入学試験において特別措置を行う」として、令和2年度の入学試験(学部、大学院、法科大学院の全入学試験)の入学検定料が免除されます。

 対象者は「令和元年度に、内閣府により『激甚災害』として指定された災害に遭い、公的機関が発行する罹災・被災証明書が提出できる方」で、手続方法は「公的機関が発行する罹災・被災証明書を出願書類とともに提出」となっており、手続きをすることにより入学検定料の支払いが不要になります。

 その他多くの大学でも、入学検定料や入学金などの減免措置が発表されていますが、出願前に免除の申請や窓口への相談が必要な場合や、入学検定料を一度納めてから返還される場合があるなど、大学ごとに違いがあります。

● 以前からある大学の学費減免制度も確認

 2019年に限らず、被災した家庭の学生を支援する制度を持つ大学もあります。

 例えば、早稲田大学には、入学を希望している被災地(災害救助法適用地域)の志願者に対して、被災の状況により、入学検定料の免除、入学金・学費等の減免制度が用意されています。「家屋が全壊し、収入を喪失した場合には、入学検定料・入学金免除、1年間の学費等免除」、「家屋が一部損壊し、収入が激減した場合には入学検定料・入学金免除、半期分の学費等免除」など、「家宅等の被災状況」と「被災による収入の変化の状況」により減免の内容が決まります。

 また、多くの国公立大学では家庭の経済的な状況などに応じて、入学料・授業料の免除や猶予(納付期限を延ばすこと)の制度があります。

 入学検定料や入学金・授業料などの減免は、今回紹介した以外にも多くの大学で設けられている制度です。対象者や、減免の額、申込の方法もそれぞれ違うので、制度の詳細については、必ず大学ごとに制度を確認してください。出願前の手続きが必要になる場合もあるので、ぜひ早めに行動しましょう。

 受験生は追い込みの時です。手続きについては保護者の方のサポートがあると助かることでしょう。合格をお祈りしております。

2020.01.06

森田 和子(もりた・かずこ)

FPオフィス・モリタ 代表

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFPR認定者、DCA(確定拠出年金アドバイザー)
大学卒業後、コンピュータソフト会社、生命保険会社勤務を経て、1999年独立。保険や投資信託の販売をしない独立系のファイナンシャル・プランナー事務所としてコンサルティングを行っている。
お金の管理は「楽に、楽しく」、相談される方を「追い詰めない」のがモットー。情報サイト・新聞・雑誌への執筆多数。企業・学校・イベントで行うマネープランセミナー・講演も好評。

FPオフィス・モリタ http://okane-net.com/