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生保税務 個人編

生命保険会社の財形の特徴

Q:会社で財形を勧められていますが、生命保険会社の財形とそれ以外の財形でどちらを選択するか迷っています。その大きな違いについて教えて下さい。

A:財形制度は、「勤労者財産形成促進制度」といい、勤労者の計画的な財産形成に国や事業主が税制等の各方面から援助し、促進していくものです。財形制度は、その税制面の取り扱いでは、大きく分けて生命保険会社の取り扱う保険型と銀行や証券会社等が取り扱う貯蓄型で違いがあります。

財形年金貯蓄制度(以下、財形年金貯蓄)と財形住宅貯蓄制度(以下、財形住宅貯蓄)は一定の要件を満たす場合、銀行などの貯蓄型では元利合計額550万円まで、保険型では払込保険料累計額550万円(財形年金のみの場合385万円)までが非課税になります。このため、保険型では払込保険料を調整することによって非課税額を調節することができますが、貯蓄型では据置期間中等に元利合計が金利の影響で限度額をオーバーすることも予想されます。しかし、その場合は、限度額を超過した利子について払い出してよいことになり、非課税額を維持できることになります。

財形年金貯蓄の場合は、途中解約はすべて要件違反になりますので、20%の源泉分離課税が行われます。貯蓄型の場合は、積立期間中、据置期間中および年金受取開始後5年以内での引き出しは、その時点での利息に20%の源泉分離課税がなされ、また非課税で支払われた利息に対してもその20%が源泉分離課税されます。年金受取開始から5年経過後の引き出しについては、それ以降の利息に対して20%源泉分離課税の扱いになります。

保険型の場合、積立期間中および据置期間中では、受取額が一時所得として課税対象になります。年金開始後5年以内に解約すると、解約返戻金が一時所得扱いとなるほか、すでに受け取った年金についても20%源泉分離課税が適用されます。年金受取開始後5年経過してからの解約であれば、すでに受け取った年金への課税はなく、解約返戻金は一時所得扱いになります。

財形住宅貯蓄の目的外払い出しについては要件違反となり、20%の源泉分離課税が行われることになります。貯蓄型の場合、要件違反の事実が生じた日前5年内に支払われた利息について、その事実が生じた日において利子等の支払いがあったものとみなし、20%の源泉分離課税が行われます。また、保険型の場合は、最終課税方式のため5年間分ではなく、払出時の差益に対して20%が源泉分離課税されます。
このように、少しずつ税制面での取り扱いが違う点がありますので、よく比較して加入しましょう。
(注)差益への課税に際し、別途復興特別所得税が課税されます。災害等の事由による目的外払い出しで非課税特例が適用される場合があります。

2023.04.01 (栗原)