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生保税務 個人編

事業承継税制の特例

Q: 「事業承継税制の特例」とはどのような内容のものですか。

A:中小企業の事業承継のさらなる推進のため、一定の要件を満たすことによって既存の「取引相場のない株式等に係る相続税の納税猶予制度」および「取引相場のない株式等に係る贈与税の納税猶予制度」について、適用範囲の拡大などの特別な取扱いが認められる制度であり、2018年1月~2027年12月の贈与・相続等が適用の対象となります。

中小企業の事業承継の円滑な遂行が今後の日本経済の発展にとって喫緊の課題であることから、円滑な事業承継の促進を支援するため、事業承継税制(取引相場のない株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度の総称)を活用しやすくするための特例が平成30年度税制改正において創設されました。

■概要

所定の手続きによって認定される「特例認定承継会社」を対象とし、贈与税・相続税の納税猶予の対象となる自社株の範囲の「発行済議決権株式の全部(一般規定では3分の2まで)」への拡大、贈与税の納税猶予制度における受贈者要件の拡大、事業継続要件における雇用確保要件の運用緩和などが適用されます。

  • 特例認定承継会社の認定期間 : 2018年4月~2024年3月
  • 特例適用対象期間 : 2018年1月~2027年12月の贈与・相続等

■一般規定との比較(主な要件)

要 件 一般規定 特例制度(創設)
適用対象株式 発行済議決権株式数の3分の2まで 発行済議決権株式の全株









先代要件 一定割合以上の自社株を保有していた等
(先代経営者を含む複数株主に適用可)
同左
後継者 会社の代表者であり一定割合以上の自社株を保有している等 同左


贈与者 一定割合以上の自社株を保有していた等
(先代経営者を含む複数株主に適用可。ただし、先代経営者は代表者を退任)
同左
受贈者
  • 会社の代表者であり一定割合以上の自社株を保有している等
  • 18歳以上であり、かつ、役員就任から3年以上経過
【受贈者は1人のみ】
左記の要件に以下を追加
  • 総議決権の10%以上を保有する代表権を持つ者(上位3人まで)
【受贈者は最大3人】
相続時精算課税の受贈者要件 推定相続人等である後継者のみ 推定相続人等以外の後継者も適用可
(第三者の受贈者への適用可)
事業継続要件
(5年間)
  • 後継者が引き続き代表者であること
  • 対象株式を保有していること
  • 5年平均で雇用の8割を維持
  • 後継者が引き続き代表者であること
  • 対象株式を保有していること
◎ 5年平均の雇用確保要件の除外※
納税猶予取消時に必要な対応 猶予税額(及び所定の期間に対応する利子税)の一括納付 同左

* 対象となる会社の要件:経営承継円滑化法に定める「中小企業」に該当すること等
※ 雇用要件未達となった理由が経営悪化または正当なものと認められない場合、認定支援機関の指導・助言を受ける必要あり(納税猶予の取消しは行わない)

2023.04.01 (栗原)