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生保税務 個人編

相続税額の計算方法

Q:相続税額はどのようにして計算すればよいのでしょうか

A:相続税額を計算するおおまかな手順は次の通りです。


1.相続税の課税価格の合計額の算出

みなし相続財産(死亡保険金など)も含め、各人が取得した現金・預金、土地、建物などの財産価値のあるものおよび相続時精算課税制度の選択による贈与財産を合計し、非課税財産、債務、葬式費用などを差し引き、相続開始前3年以内(令和6年1月1日以降に受けた贈与から7年以内まで順次延長)に被相続人から贈与によって取得した財産(相続時精算課税制度の選択による贈与財産を除く)の価額を加えて相続税の課税価格の合計額を算出する。

      ↓

2.課税遺産総額の算出

上記1の課税価格の合計額から基礎控除額を差し引く。
基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数

      ↓

3.課税遺産総額を、各人が法定相続分通りに相続したものとして、各人の仮の相続税額を算出

      ↓

4.上記3の各人の仮の相続税額を合計し、相続税の総額を算出

      ↓

5.各人の相続税額を算出

上記4の相続税の総額を、各人が実際に相続した財産の課税価格に応じて案分する。

      ↓

6.各人の納税額を算出

上記5の各人の相続税額から税額控除および相続時精算課税による贈与税額を差し引き、各人の納税額を算出する。
税額控除には、贈与税額控除、配偶者の税額軽減、未成年者控除、障害者控除、相次相続控除、外国税額控除がある。

<例>
相続人である妻と子ども2人(長男22歳、長女20歳)が次の財産を相続しました。
相続税額はいくらになるでしょうか。なお生前贈与による財産はありません。
●現金・預金、土地、建物・・・1億5,000万円
●死亡保険金(受取人は妻)・・・5,000万円
●債務、葬式費用・・・1,000万円
     ↓
各人の財産取得額は次の通りとします(債務、葬式費用は妻が負担)。
 妻・・・1億1,250万円 長男・・・5,250万円 長女・・・3,500万円

1.相続税の課税価格の合計額の算出

1億5,000万円+5,000万円-1,000万円-(500万円×3人)=1億7,500万円

      ↓

2.課税遺産総額の算出

1億7,500万円-(3,000万円+600万円×3人)=12,700万円

      ↓

3.課税遺産総額を、各人が法定相続分通りに相続したものとして、各人の仮の相続税額を算出

(1)妻
12,700万円×1/2=6,350万円
6,350万円×30%-700万円=1,205万円

(2)長男
12,700万円×1/2×1/2=3,175万円
3,175万円×20%-200万円=435万円

(3)長女
12,700万円×1/2×1/2=3,175万円
3,175万円×20%-200万円=435万円

      ↓

4.上記3の各人の仮の相続税額を合計し、相続税の総額を算出

1,205万円+435万円+435万円=2,075万円

      ↓

5.各人の相続税額を算出

実際に相続した財産の課税価格
妻・・・8,750万円(1億1,250万円-1,000万円-<生命保険金の非課税額>500万円×3人)
長男・・・5,250万円 長女・・・3,500万円
(1)妻
2,075万円×8,750万円/1億7,500万円(0.5)=1,037.5万円
(2)長男
2,075万円×5,250万円/1億7,500万円(0.3)=622.5万円
(3)長女
2,075万円×3,500万円/1億7,500万円(0.2)=415万円

      ↓

6.各人の納税額を算出

配偶者が実際に取得した遺産額のうち次の(ア)(イ)のどちらか多い金額までは配偶者に相続税はかからない
(ア)1億6,000万円
(イ)配偶者の法定相続分

(2)長男
622.5万円

(3)長女
415万円

 

2023.04.01 (栗原)