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生保税務 個人編

遺言の基礎知識

Q:遺言について教えてください。

A:遺言とは、被相続人が生前に遺産の処分などに関して指定することをいいます。遺言は15歳以上の人であればだれでも行うことができ、内容は自由です。
遺言の書き方には一定の要件があり、その要件を満たしていない遺言は無効とされます。また遺言により財産は、自由に処分することができます。ただし、遺留分を侵害する遺言がなされた場合、遺留分を侵害された相続人は遺留分侵害額請求をすることができます。なお遺言を撤回したい場合は、自由にいつでも、その全部または一部を撤回することができます。

遺言には普通方式と特別方式があり、通常、特別方式は使用されることはありません。普通方式には「公正証書遺言」、「自筆証書遺言」、「秘密証書遺言」の3種類があり、公正証書遺言と自筆証書遺言がよく用いられています。

■公正証書遺言

公証人役場で、証人2人以上の立会いのもとに、遺言者が直接に遺言の趣旨を公証人に口述します。公証人は筆記した内容を遺言者と証人に読み聞かせ、遺言者と証人が署名・押印し、最後に公証人も署名・押印することになっています。保管は安全確実で、偽造・変造・隠ぺいの危険がありません。また、遺言書の検認の手続きは不要です。ただし、証人の立会いがあるため、遺言書を作成したことや内容を第三者に知られることがあり、費用と手間がかかります。

■自筆証書遺言

遺言者が、内容・日付・署名のすべてを自署で作成し(財産目録はPC等で作成可能)、押印します。証人の必要がなく簡単に作成でき、費用もかかりません。しかし、遺言書を紛失したり、変造・偽造される恐れがあります。また、形式の不備で無効になったり、内容が不完全で争いが起きる危険性もあるほか、家庭裁判所の検認手続きが必要です。

※2020年7月10日より法務局で自筆証書遺言の遺言書を保管し、検認不要とする制度の利用が可能となりました。

■秘密証書遺言

遺言者本人が遺言書に署名・押印し、遺言書に用いた印鑑で封印した後、公証人1人、証人2人以上の前に提出して、自分の遺言であることと、住所・氏名を申述します。遺言したことは分かりますが、その内容の秘密は守られます。代筆やPC等での作成も有効です。ただし、作成に費用と手間がかかる点と、遺言内容については公証されていないため紛争が起きる危険性があります。また、検認手続きが必要です。

2023.04.01 (栗原)