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生保税務 個人編

相続税VS贈与税

Q:相続人である子どもを契約者・被保険者として保険料を贈与する生命保険契約を勧められています。自分が契約者・被保険者になって加入し、死亡後に相続税を支払う場合とではどちらが有利になりますか。

A:同じ財産でも相続税で支払う金額と、生前に贈与して贈与税で支払う金額を比較してどちらが有効か考えます。相続税では課税対象額が6億円超になると税率は最高の55%となり、贈与税では18歳以上の者が直系尊属から贈与を受けた場合の基礎控除後の課税価格が4,500万円超、それ以外は3,000万円超の場合に税率は最高の55%となります。従来の贈与(暦年贈与)によるもので、相続時精算課税制度の場合は異なります。実際には相続財産額と、被相続人の配偶者の有無や相続人の人数などで、どちらが有利になるかが異なってきます。


相続人に保険料を贈与した場合は、相続財産を確実に減少させることができ、その金額分だけ確実に相続税を減らすことが可能です。また、孫に直接贈与すれば、子どもから孫へと相続した場合の相続税の課税を1回飛ばすこともできますし、孫(代襲相続人ではない)に直接相続させた場合の相続税2割加算の心配もありません。

贈与による方法を選択した場合、従来の贈与(暦年贈与)においては贈与税の基礎控除額の110万円以内か、10%の税率で贈与できる310万円まででお勧めするケースが多いようです。

この贈与により受け取った金額で、相続人を契約者として生命保険に加入します。

保険料の贈与は毎年行います。生命保険を活用した贈与は、昭和58年9月の国税庁長官の事務通達により次の点に注意する必要があります。

  1. 贈与契約書を毎年作成して保管する(毎年贈与する金額が異なるようにする)。
  2. 110万円(贈与税の基礎控除額)を超える金額を設定し、毎年の贈与税申告書を保管する。
  3. 贈与した人はこの保険料を生命保険料控除に活用しない。
  4. 贈与事実の確認のため、保険料は相続人名義の口座から引き落とし、通帳・印鑑は相続人自身が管理を行う。

このような注意点を考慮しておかないと「連年贈与」として認定される恐れがあります。
また、受贈者は権利能力があることが前提です。幼児など本人意思が確認できない年齢では否認されるおそれもありますので、実行に当たっては必ず税理士などの専門家に相談されることをお勧めします。

2023.04.01 (栗原)