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生保税務 個人編

相続の放棄と死亡保険金

Q:このたび配偶者(夫)が死亡しましたが、生前に多額の借入金があり、とてもわたしが返済できる金額ではありません。相続財産を放棄しようと考えています。相続放棄をした場合、わたしが死亡保険金受取人となっている生命保険金を受け取ることは可能ですか。

A:死亡保険金の受け取りは可能です。
死亡保険金は生命保険契約に基づいて死亡保険金受取人が取得するものとされており、死亡保険金受取人固有の財産とされています。よって、相続の放棄をした者であっても死亡保険金を受け取ることができます。「相続放棄」は被相続人が残した財産について、相続する権利を放棄するということであり、本来相続人の固有の財産である死亡保険金を取得する権利を放棄することではないためです。

「相続放棄者」とは、家庭裁判所で法的手続きを行い、相続放棄した者をいいます。法的な手続きを取らないで、相続人同士で遺産分割協議などを行い遺産相続しないことになった者は、財産を取得していませんが「相続放棄者」にはなりません。

相続税の計算を行う場合、相続人が相続により取得したとされる死亡保険金(みなし相続財産)は、「500万円×法定相続人の数」まで非課税です。しかし「相続を放棄した者」は、当然「相続人」としての取り扱いはされませんので、相続を放棄した者が死亡保険金を取得した場合は、相続人以外の者が遺贈により取得した場合と同様、死亡保険金の非課税の取り扱いは適用されないこととなりますので注意が必要です。ただし、ほかの相続人が受け取った死亡保険金について非課税の額を計算するときは、相続放棄者もその人数に含めます。

また、「相続を放棄した者」は相続人でなくなり、最初から相続人となるべき者がいないものとして次の順位の者が相続人になります。

2023.04.01 (栗原)