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生保税務 個人編

解約返戻金の課税関係

Q:加入している生命保険の保険料を継続して支払うことが難しくなり、解約しました。この場合の課税関係はどのようになりますか。

A:受け取った解約返戻金は一時所得として所得税・住民税の課税対象になります。
解約返戻金は契約者が受け取ることになります。通常、契約者は保険料負担者と同一人と考えられますので、解約返戻金を受け取った場合には、契約者に所得税(一時所得)・住民税が課税されます。

課税対象となる一時所得の金額=(解約返戻金-支払保険料-50万円)×1/2
しかし次の3点すべてに該当する場合には金融類似商品とみなされ、20%源泉分離課税(国税15%、地方税5%)とされる場合もあります。

  1. 保険期間等が5年以下のものおよび保険期間等が5年を超えるもので5年以内に解約した場合
  2. 保険料の支払方法が一時払または初年度に保険料総額の50%以上または契約日から2年以内に75%以上を払い込む方法
  3. 普通死亡による死亡保険金が満期保険金と同額以下、かつ災害死亡等により支払われる保険金が満期保険金の5倍未満

ただし、契約者とは異なる名義の銀行口座から保険料が引き落とされている場合など、契約者と保険料負担者が相違しているとみなされる場合には、契約者が受け取った解約返戻金は贈与税の対象となりますので注意が必要です。

契約途中で契約者が変更された場合について考えてみましょう。

変更前の契約者が死亡し契約者が変更された場合、相続開始時に生命保険契約に関する権利は税法上みなし相続財産とされ、変更後の契約者に継承されます。このため変更後の契約者が受け取った解約返戻金全額は一時所得として課税され、その必要経費は当初からの支払保険料相当額がその対象になります。

変更前の契約者が生存中に契約者が変更された場合、変更時には課税関係は発生しません。解約返戻金受取時には保険料の負担割合で按分し課税が発生します。変更前の契約者が負担した分の解約返戻金については、変更後の契約者への贈与とみなされ贈与税の対象になります。変更後の契約者が負担した分の解約返戻金については一時所得の対象となり、この場合の必要経費は自分が負担した支払保険料相当額になります。

2023.04.01 (栗原)