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生保税務 個人編

死亡保険金を一時金と年金で受け取った場合

Q:契約者・被保険者が父で、死亡保険金受取人がわたしとなっている生命保険契約があります。このたび、被保険者である父が死亡し、わたしが死亡保険金3,000万円を受け取ることになりました。なお、この契約には、保険金支払事由発生日の前に年金払い特約が締結されており、死亡時に一時金として1,500万円、その後毎年300万円ずつ5年間にわたり年金払いされることになっています。契約者である父が死亡するまでに支払った保険料は200万円でした。この場合の課税はどのようになりますか。

A:死亡時と年金受け取り時に分けて考えます。

●死亡時

死亡保険金は相続税の対象となり、一時金部分はその金額、年金部分は相続税法第24条(定期金に関する権利の評価)により評価した価額に対して相続税が課税されます。

■ 「年金の受給権」の評価額について(受取期間が確定している場合) 個人年金保険の年金受取人が死亡した場合の評価額(確定年金)と同様です。

【評価方法】

次の1?3のいずれか多い金額

  1. 解約返戻金の金額
  2. 年金に代えて一時金の給付を受けることができる場合には当該一時金の金額

※ 複利年金現価率の算式

なお、ほかに死亡保険金がない場合は、この金額から「生命保険金の非課税枠(500万円×法定相続人の数)」を控除することができます。

●年金受け取り時

毎年受け取る年金は、雑所得として扱い、所得税・住民税が課税されます。雑所得の金額は次のように計算します。

数式

[注]
相続により取得した生命保険金で年金により支払われるものについては、平成22年7月6日に最高裁判所から「従来の課税方法は二重課税に該当し違法である」という内容の判決が出されました。この判決を受けて国税庁では従来の課税方法についての見直しを行い、「相続税あるいは贈与税の対象となった後に受け取る年金」への課税方法(雑所得課税)が変更されました。

年金受給権が相続税・贈与税の課税対象となった年金契約による年金に対する課税

年金受給権が相続税・贈与税の対象となった生命保険契約等に基づく年金を受け取る場合、相続税・贈与税の課税対象相当部分は、所得税および住民税の課税対象外となります。

①当取扱いの対象となる人
以下のいずれかに該当し、保険契約等に係る保険料等の負担者でない人

  • 死亡保険金を年金形式で受給している人
    (注) ただし、相続開始後に死亡保険金の年金払いの申出をした場合には、実際に年金で受け取っていても、死亡保険金に対して相続税が課税されるため、当取扱いの対象外となる。
  • こども保険(学資保険)の保険契約者が亡くなったことに伴い、養育年金を受給している人
  • 個人年金保険契約に基づく年金を受給している人

<留意点>

  • 上記に該当する場合、実際に相続税や贈与税の納税額が生じなかった人も対象となります。
  • 確定年金を受取中に残存期間年数分を一括して受け取った場合の一時所得についても、対象となります。

②具体的な取扱い方法

(1)雑所得の計算方法
所得税の課税対象となる雑所得は一般に、各年の年金収入金額-必要経費*で求められます。

*必要経費=各年の年金収入金額×(支払保険料総額÷年金支払総額)

(2)各年の年金収入金額の計算方法
雑所得金額計算のもととなる「各年の年金収入金額」の計算方法が変更されました。

変更前 変更後
各年の年金収入金額全体を対象とする。 各年の年金収入金額を所得税の課税部分と非課税部分(相続税・贈与税課税対象部分)に振り分け、課税部分にのみを対象とする。

上記のとおりの変更となり、変更後の雑所得課税の対象が小さくなり、それに伴い一般に税額も少なくなる傾向が見られます。

<取扱い方法変更のイメージ>

2023.04.01 (栗原)