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生保税務 個人編

収入(生活)保障特約

Q:被保険者が死亡したため、死亡保険金を一時金で、収入(生活)保障特約の年金を、毎年受け取ることになりました。どのような課税関係が発生しますか。

A:毎年受け取る年金には、契約形態にかかわらず雑所得として所得税・住民税がかかります。所得金額は、受取年金額から必要経費を差し引いた金額になります。 雑所得の必要経費は払込保険料をまず一時金と年金受取総額で按分し、次にその年金部分の金額を受取年金総額で除して計算した必要経費割合を受取年金額に乗じて計算した金額になります。

死亡時、契約者・被保険者が被相続人で、死亡保険金受取人・収入(生活)保障特約年金受取人が相続人の場合は、一時金と収入(生活)保障年金の受給権が相続税の課税対象になります。

相続税の課税対象額=一時金受取額+収入(生活)保障年金の受給権

この合計額からは、死亡保険金の非課税枠(500万円×法定相続人の数)を差し引くことができます。

■ 「収入(生活)保障年金の受給権」の評価額について(受取期間が確定している場合)
個人年金保険の年金受取人が死亡した場合の評価額(確定年金)と同様です。

【評価方法】
次の1?3のいずれか多い金額

  1. 解約返戻金の金額
  2. 年金に代えて一時金の給付を受けることができる場合には当該一時金の金額
  3. 数式

※ 複利年金現価率の算式

[注]
相続により取得した生命保険金で年金により支払われるものについては、平成22年7月6日に最高裁判所から「従来の課税方法は二重課税に該当し違法である」という内容の判決が出されました。この判決を受けて国税庁では従来の課税方法についての見直しを行い、「相続税あるいは贈与税の対象となった後に受け取る年金」への課税方法(雑所得課税)が変更されました。

年金受給権が相続税・贈与税の課税対象となった年金契約による年金に対する課税

年金受給権が相続税・贈与税の対象となった生命保険契約等に基づく年金を受け取る場合、相続税・贈与税の課税対象相当部分は、所得税および住民税の課税対象外となります。

①取扱いの対象となる人
死亡保険金を年金形式で受給している人で、保険契約等に係る保険料等の負担者でない人

(注) ただし、相続開始後に死亡保険金の年金払いの申出をした場合には、実際に年金で受け取っていても、死亡保険金に対して相続税が課税されるため、当取扱いの対象外となる。

<留意点>
・ 上記に該当する場合、実際に相続税や贈与税の納税額が生じなかった人も対象となります。
・ 確定年金を受取中に残存期間年数分を一括して受け取った場合の一時所得についても、対象となります。

②具体的な取扱い方法

(1)雑所得の計算方法
所得税の課税対象となる雑所得は一般に、各年の年金収入金額-必要経費*で求められます。

*必要経費=各年の年金収入金額×(支払保険料総額÷年金支払総額)

(2)各年の年金収入金額の計算方法
雑所得金額計算のもととなる「各年の年金収入金額」の計算方法が変更されました。

変更前 変更後
各年の年金収入金額全体を対象とする。 各年の年金収入金額を所得税の課税部分と非課税部分(相続税・贈与税課税対象部分)に振り分け、課税部分にのみを対象とする。

上記のとおりの変更となり、変更後の雑所得課税の対象が小さくなり、それに伴い一般に税額も少なくなる傾向が見られます。

<取扱い方法変更のイメージ>

2023.04.01 (栗原)