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社会保障制度の基礎知識

老齢基礎年金のしくみ

●老齢基礎年金の受給資格期間

  老齢基礎年金を受給するには、保険料の納付済期間+カラ期間+保険料免除期間(4分の1免除、半額免除、4分の3免除の期間を含みます)が10年以上(2017(平成29)年7月までは25年以上)必要です。

  保険料納付済期間が短く、60歳になっても満額の年金を受け取る要件を満たさない人は、65歳になるまで国民年金に任意加入できます。さらに、65歳時点で、受給資格がない人は、最高70歳まで引き続き任意加入(これを特例任意加入といいます)することができます。

●カラ期間(合算対象期間)

  カラ期間とは、「受給資格期間の判定には含めることができるが、年金額の計算には含まれない期間」のことで、正しくは合算対象期間といいます。主なカラ期間は次の通りです。

  1. サラリーマンの妻などで昭和61年3月以前の国民年金に任意加入しなかった期間
  2. 学生で平成3年3月以前に国民年金に任意加入しなかった期間
  3. 厚生年金の脱退手当金を受け取った期間のうち、昭和36年4月以降の期間
  4. 昭和36年4月以降、日本人で20歳から60歳までの間に海外に在住しており、国民年金に任意加入しなかった期間
  5. 厚生年金や共済組合に加入した期間のうち、20歳未満と60歳以上の期間

●国民年金の保険料免除について

(1)法定免除・・・

  生活保護のうち生活扶助を受けている人、障害基礎年金または障害厚生年金の1級、2級の年金を受けている人。この人たちは届出をすることによって保険料全額を免除してもらえます。

(2)申請免除 ・・・

  生活扶助(教育扶助・医療扶助)以外の生活保護を受けている人、障害者や寡婦(未亡人)等で年間所得が一定水準以下の人、年間所得が一定水準以下で保険料を納めることが困難な人。この人たちは申請をすることによって保険料を免除してもらえます。申請免除には、全額免除、半額免除、4分の3免除、4分の1免除があります。

(参考)保険料免除・納付猶予の承認基準(所得の基準)
1.全額免除
  前年所得が以下の計算式で計算した金額の範囲内であること
  (扶養親族等の数+1)×35万円+32万円
2.4分の3免除
  前年所得が以下の計算式で計算した金額の範囲内であること
  88万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
3.半額免除
  前年所得が以下の計算式で計算した金額の範囲内であること
  128万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
4.4分の1免除
  前年所得が以下の計算式で計算した金額の範囲内であること
  168万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
5.納付猶予制度
  前年所得が以下の計算式で計算した金額の範囲内であること
  (扶養親族等の数+1)×35万円+32万円

※上記「扶養親族等控除額」「社会保険料控除額等」は源泉徴収票・確定申告控等で確認することが大切です。
(注)地方税法に定める障害者、寡婦又はひとり親の場合、基準額が変わります。詳しくは、市区町村役場等に問合せてください。

(3)学生納付特例・・・

  日本国内に住むすべての人は、20歳になった時から国民年金の被保険者となり、保険料の納付が義務づけられていますが、学生については、申請により在学中の保険料の納付が猶予される「学生納付特例制度」が設けられています。 学生納付特例の所得基準は以下の通りです。

128万円*+扶養親族等の数×38万円+社会保険料控除等
*令和2年度以前は118万円

  学生納付特例の適用期間は老後の年金を受けるために必要な期間(10年)には加算されますが年金額には加算されません。保険料は納付が原則で、猶予はあくまでも特例という位置づけです。
  ただし障害、遺族年金については納付特例の期間に起きた障害、死亡でも、年金の支給対象になりますので、20歳を過ぎた学生は必ず保険料を全額納付または納付特例による猶予手続をしておかないといけません。それを忘れると障害状態になった場合無年金になる危険性があります。

(4)納付猶予制度・・・

  50歳未満の者で所得が一定額以下の者の保険料納付を猶予する制度です。学生納付特例と同じく老後の年金を受けるために必要な期間には加算されますが年金額には反映しません。また学生納付特例と同じく、その猶予期間中の障害、死亡による障害、遺族年金は支給対象となります。
  納付猶予は、申請者本人と配偶者の前年所得が審査の対象です(申請時期によって前々年の所得で審査を行う場合があります)。

(5)育児休業期間中等の保険料免除・・・

  育児休業期間中で子供が3歳未満の間、厚生年金の保険料は免除されます。保険料が免除になってもその期間中は従前の標準報酬に基づく保険料が納付された扱いになりますので、年金の受給において不利になることはありません。(ここが国民年金の保険料免除と違うところです)。
  また、3歳未満の子供を養育するため、勤務時間の短縮などによって標準報酬月額が低下した場合は、事業主を通じて年金事務所へ届出を行えば、子が生まれる前の標準報酬月額のままであったとみなして、将来の年金受取額が低下しないように配慮する措置なども設けられています。
  なお、2014(平成26)年4月より産前・産後の休業期間についても厚生年金保険料は免除されています。

  国民年金の保険料免除期間は、年金を受け取るための受給資格期間に含まれますが、年金額を計算する際は、免除を受けた場合の年金支給は保険料を全額納付した場合より少なくなります。

(6)第1号被保険者の産前産後の保険料免除・・・

  国民年金の第1号被保険者の、出産日の前月(多胎の場合は3ヵ月前)から、出産日を含む月から3ヵ月の国民年金保険料が免除される制度です。2019年(平成31年)4月から実施された制度で、妊娠4ヵ月以降の早産、流産、死産も対象です。
  この制度で免除されたときには通常の納付期間と同じ扱いになり、将来の年金額が減額されることはありません。また、付加保険料を別途納めることもできます。すでに保険料を前納している場合には、還付されます。
  居住地の自治体の窓口に申請を行います。

2023.04.01 (保坂)