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No.4490 免税事業者対象にインボイス登録要否相談会を開催

● インボイスの登録申請の必要性などを担当官が説明

 インボイス制度が開始される10月1日まで半年を切ったが、個人事業者や消費税の課税売上高が1,000万円以下の法人などの免税事業者は、インボイス発行事業者の申請に悩む向きも多いと思われる。そこで、全国の国税局・税務署では、インボイス発行事業者に登録するか否かを検討している免税事業者を対象に、登録の考え方や事業の状況等に応じて必要な情報等を、個別に案内する登録要否相談会(原則、事前予約制)を開催している。

 インボイスを交付できるのは登録を受けた事業者に限られるが、登録を受けるかどうかは事業者の任意となっている。ただし、登録を受けなければ、インボイスを交付することができず、取引先が仕入税額控除を行うことができなくなることから、免税事業者は取引から排除される不安がある。相談会では、相談者の事業実態を聞きながら、インボイスの登録申請の必要性などを担当官が説明するという。

● 登録要否のポイントは売上先のインボイス必要の有無

 国税庁は、相談会に臨む際に、売上や、取引先が事業者と一般消費者のどちらに該当するかなど事業の状況について、相談者自身が事前に整理しておけば、よりスムーズな案内ができるとしている。

 登録要否のポイントとなるのが、売上先がインボイスを必要としているかどうかだ。売上先が、消費者や免税事業者、簡易課税制度を選択している又は納付税額を売上税額の2割とする特例により申告する課税事業者の場合はインボイスを必要としない。

 これ以外の課税事業者である売上先はインボイスが必要となるが、一定規模以下の事業者の場合、インボイス制度施行から6年間、1万円未満の課税仕入れについては帳簿のみの保存で仕入税額控除ができる特例のためインボイスは必要ない。

 一方、登録を受け、課税事業者になれば、販売する商品に軽減税率対象品目があるかどうかを問わず、取引の相手方(課税事業者に限る)からの求めに応じて、インボイスを交付する必要がある。また、登録を受けている間は、基準期間の課税売上高が1,000万円以下となっても免税事業者にはならない。

 このように、インボイス発行事業者となるに際しては、色々な事態を勘案する必要があるわけだ。

 なお、国税庁では、インボイス発行事業者の登録を受けるかどうかの判断をする参考として、「インボイス制度への事前準備の基本項目チェックシート」を公表しているので、ぜひ活用したい。

参考: 「インボイス制度の説明会」(国税庁)

2023.06.05

浅野 宗玄(あさの・むねはる)

株式会社タックス・コム代表取締役
税金ジャーナリスト
1948年生まれ。税務・経営関連専門誌の編集を経て、2000年に株式会社タックス・コムを設立。同社代表、ジャーナリストとしても週刊誌等に執筆。著書に『住基ネットとプライバシー問題』(中央経済社)など。
http://www.taxcom.co.jp/
○タックス・コム企画・編集の新刊書籍『生命保険法人契約を考える』
http://www.taxcom.co.jp/seimeihoujin/index.php