お客様のお役に立つ JAIFA学習帖

  • サイト内検索:

No.4487 デジタル遺言制度、導入に向けて検討?

● 現在、利用される遺言は主に2種類

 現在、法的に認められている普通方式の遺言制度は自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3つがあるが、そのうち、一般的に利用されるのは、前者2つである。

 自筆証書遺言は、遺言者が、遺言の全文、日付、氏名を自分で手書きして、押印をする遺言書で、遺言書の本文をパソコンや代筆で作成することはできないが、民法改正によって、2019年(平成31年)1月13日以降、財産目録は各ページに署名押印をすれば、パソコンや代筆でも作成できるようになっている。

 なお、財産目録は、預貯金通帳の写しや不動産(土地・建物)の登記事項証明書などの資料を添付する方法でも作成することができる(その場合、全てのページに署名と押印が必要)。

 自筆証書遺言は作成に費用がかからず、手軽に作成できるが、遺言者の死亡後、遺言書の保管者や相続人が家庭裁判所に遺言書を提出して、検認の手続きが必要になる手間や、無効、紛失、偽造リスクなどのデメリットもある。

 一方、公正証書遺言は、公正役場で証人2人以上の立会いの下、遺言者が遺言の趣旨を公証人に述べて、公証人の筆記により作成してもらう遺言書で、遺言書の原本は、公証役場で保管される。

 公正証書遺言は証人2人が必要で、費用も手間もかかるが、公証人が遺言書作成に携わるため、無効になる可能性が低い。

● 自筆証書遺言の短所を補う、保管制度が2020年から開始

 なお、自筆証書遺言の改ざんや偽造、紛失リスクなどに対応するため、2020年(令和2年)7月10日から、自筆証書遺言書とその画像データを法務局で保管する「自筆証書遺言保管制度」が開始されている。

 この制度は、家庭裁判所の検認が不要で、遺言書の保管申請時に、民法の定める自筆証書遺言の形式に適合するかについて、遺言書保管官の外形的なチェックが受けられるほか、遺言書は、原本に加え、画像データとしても長期間適正に管理される(原本:遺言者死亡後50年間、画像データ:同150年間)。

● デジタル遺言制度、日本でも導入か?

 顔写真や電子署名などで本人確認を担保し、ブロックチェーン技術などを使ってクラウド上に保存するといった案が出ているようだ。アメリカで2019年に電子遺言書法(雛形法* Model Law)が定められるなど、海外でも導入事例があり、今後、日本でも導入される可能性がある。現段階では全くの白紙であるが、これからの議論の行方を注視したい。
* 各州が採用しない限り、有効な法律とはならない。

2023.06.05

村田 直(むらた・ただし)

マネーコンシェルジュ税理士法人
税理士
大阪府茨木市出身。大学卒業後、会計事務所勤務を経て現法人へ。平成22年3月税理士登録。法人成り支援や節税対策・赤字対策など、中小企業経営者の参謀役を目指し、活動中。年に数回の小冊子発行など、事務所全体で執筆活動にも力を入れている。

マネーコンシェルジュ税理士法人
◎私たちは「経営者へのお役立ち度★世界一」の税理士事務所を目指します!
http://www.money-c.com/
http://sogyo5.money-c.com/

マネーコンシェルジュ税理士法人がお届けする無料オリジナルマガジン
『あんしん相続通信』

保険営業マンの皆さんへ

  • お客様への情報提供ツールとして、ご利用ください(コピー配布可)。
  • 右下の申込書の最下段に、ご自身のお名前をご記入の上、お客様にお渡しください。
  • もし、そのお客様から生命保険のご相談があった場合には、必ずご紹介させていただきます。

ご希望の方は、下記申込書にご記入の上、
06-6450-6991までFAXください。
https://www.money-c.com/kr/ASTapplication.pdf