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No.4358 古いがん保険は受取人に注意

● 受取人が誰になっているか確認しよう

 入院給付金や手術給付金などの給付金は、被保険者が受取人となっている場合が多い。保険法上では、被保険者の同意を得て、契約者が受取人を指定できることになっているが、ほとんどの商品では、約款で被保険者を受取人としており、契約者が受取人を変更することはできない。

 がん保険などでも同様で「がん死亡保険金」以外の生存給付である「がん入院給付金」「がん手術給付金」「がん診断一時金」などは通常被保険者が受取人である。

● 被保険者以外の者が受取人になるケースは?

 しかし、古い契約ではそうでないケースもある。契約時に被保険者以外の者が受取人に指定されているような商品もあった。

 保険制度の問題ではなく、患者ががんと診断されたときに、本人にそれを告知するか否かの対応が一律ではなかったことが理由だ。つまり、患者は自分ががんであることを知らないケースが多くあったのである。

 通常の生命保険に特約として生活習慣病特約(成人病特約)が付加されている保険契約で、被保険者が自己の病名を知らない(がんであるが、医師からは胃潰瘍と伝えられているなど)場合に、通常の入院給付金のみを支払い、特約によって上乗せになった金額は支払いを保留し、被保険者が病名を知った時点で支払うような取り扱いがあった。あるいは、給付金支払時点で差額部分を家族に支払うような取り扱いも行われていた。

 がん保険などの場合、このように支払いを保留していると、治療費などにあてることができず、生命保険としての意義が薄れてしまう。そのため、被保険者が病名不知の場合でもスムーズに手続きができるよう、このような規定になっていたと考えられる。

 しかし、現在においては、患者にがんであることを告知することは珍しくない。むしろ、告知する方が一般的である。そのため、今発売されている保険は通常被保険者が受取人となっている。

● 給付金にかかる税金は?

 被保険者以外が受取人となっていても、例えば配偶者を受取人としているような場合、通常は大きく問題になることはない。このケースでは、受け取った給付金は、所得税は非課税であり、その給付金を被保険者の治療費として支出しても贈与税の問題も一般には生じない。ただし、独身時代に親を受取人としていた場合などで、給付金請求時に指定された受取人が死亡していると、多少取り扱いが面倒になる。保険会社によって異なるが、通常、請求時に受取人の死亡の事実、死亡した受取人の相続人であることを示す戸籍の証明が必要になる。

 このような事態を避けるため、長期間見直しが行われていないがん保険は、保障内容だけでなく、受取人も確認しておくべきである。支払事由発生前であれば受取人を被保険者自身に変更できることが多い。お客さまへのアドバイスとして活用して欲しい。

2022.09.12
(セールス手帖社 田中一司)