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No.4351 3人に2人、「転勤」は退職を考えるきっかけに

● 20~30代の7割以上が「転勤」は退職のきっかけになる

 エン・ジャパン株式会社が運営する求人サイト『エン転職』は、ユーザーを対象に「転勤」についてアンケートを実施し、約1万名からの回答をまとめて発表した。

 転勤は退職を考えるきっかけになるかとの問いに対し、64%が「なる」(なる36%、ややなる28%)と回答。2019年の同調査に比べて5ポイント増加した。64%ということは、「転勤」を命じられた3人のうち2人は「それなら退職しようか…」と脳裏をよぎるということだ。年代別にみると、20代、30代は7割以上が「なる」と回答。男女別にみると、男性より女性のほうがきっかけになることが分かった。

● 転勤を控える企業も増えている

 近年、会社都合による転勤や引っ越しを伴う異動などを控える企業が増えている。転勤や異動は正社員として働く場合、会社が人事戦略上行っていくものでやむを得ないものと思い、単身赴任や家族一緒の転居を受け入れていたわけだが、最近では転勤するくらいなら退職を検討すると申し出てくる者も一定数いるので、会社側も人材の配置には苦労しているようだ。

 実際のところはどうなのだろう。アンケートで「これまでに、転勤を理由に退職したことはありますか?」という問いに対して「ある」という回答は9%と1割に満たないが、2019年の同調査と比べると4ポイント増加しており変化の兆しは感じることができる。

● コロナ禍の転勤で人間関係構築に苦労する

 興味深いところとしては、「転勤の辞令が出た場合、退職を考えるきっかけになる」と回答した方の断った理由として、「今後のライフイベント(結婚など)に影響がでるから」や「東京に短期異動してほしいと言われたが、東京では新型コロナウイルス感染者が多数出ていたため」というものもあり、やはり仕事以外の人生設計を考慮したり、コロナ禍の影響もあるので、会社側が配慮をしないといけないケースがあることも忘れてはなるまい。

 コロナ禍(2020年)以降に転勤された方に、「コロナ禍の転勤で、特に苦労したこと」を問うたところ、第1位は「転勤先での人間関係構築が難しい」(36%)となった。コロナ禍では引継ぎが難しいと答える方も一定数おり、今後もこのような状況が続くものとして会社側もこれらの貴重な意見を参考にしながら対応力をアップさせていく必要がある。

 本来それほど必要のない転勤を命じることで退職してしまう人が増えるのは問題であるので、まさに社会が変化していくなかで転勤について経営陣は人事部などとともに自社の転勤についての考え方についてあらためて話し合ってみるのもよいだろう。

参照:『エン転職』1万人アンケート(2022年6月)転勤に関する意識調査

2022.09.05

庄司 英尚(しょうじ・ひでたか)

株式会社アイウェーブ代表取締役、アイウェーブ社労士事務所 代表
社会保険労務士 人事コンサルタント

福島県出身。立命館大学を卒業後、大手オフィス家具メーカーにて営業職に従事。その後、都内の社会保険労務士事務所にて実務経験を積み、2001年に庄司社会保険労務士事務所(現・アイウェーブ社労士事務所)を開業。その後コンサルティング業務の拡大に伴い、2006年に株式会社アイウェーブを設立。企業の業績アップと現場主義をモットーとして、中小・中堅企業を対象に人事労務アドバイザリー業務、就業規則の作成、人事制度コンサルティング、社会保険の手続き及び給与計算業務を行っている。最近は、ワーク・ライフ・バランスの導入に注力し、残業時間の削減や両立支援制度の構築にも積極的に取り組んでいる。

公式サイト http://www.iwave-inc.jp/
社長ブログ http://iwave.blog73.fc2.com/