保険料を支払った場合
Q:個人年金保険の保険料を支払ったときの税務上の取り扱いについて教えてください。
A:個人年金保険の保険料を支払ったとき、所定の要件を満たせば、一般の生命保険料控除とは別に、個人年金保険料控除を受けることができます。所定の要件を満たさない個人年金保険の保険料は、一般の生命保険料控除の対象となります。個人年金保険料控除の対象となった個人年金保険が特約付きの場合、その特約保険料は、一般の生命保険料控除の対象となります。
また、保険料を一時払いで支払った場合は、個人年金保険料控除の対象にはならず、一般の生命保険料控除の対象となります。そして、保険料を支払った年のみの控除になります。
●個人年金保険料控除の対象となる契約
次の要件を満たすもので、かつ「個人年金保険料税制適格特約」を付加した契約です。
- 年金受取人
契約者(保険料負担者)またはその配偶者のいずれかで、被保険者と同一であること。 - 保険料払込期間
10年以上の期間にわたって、定期的に払い込みを行うものであること(一時払い契約は、個人年金保険料控除の対象にならない)。 - 年金の支払方法
終身または受取人の年齢が60歳に達した日以後の日から、10年以上の期間にわたって定期的に行うものであること。
●控除額
1.2012年(平成24年)1月1日以後に締結した契約(新制度適用契約)の控除額
<所得税>
年間正味払込保険料 | 控除額 |
---|---|
20,000円以下 | 全 額 |
20,000円超40,000円以下 | 年間正味払込保険料×1/2+10,000円 |
40,000円超80,000円以下 | 年間正味払込保険料×1/4+20,000円 |
80,000円超 | 一律 40,000円 |
(注1) 一般生命保険料控除、個人年金保険料控除、介護医療保険料控除の複数の項目についての控除がある場合の合計控除限度額は12万円となる。
(注2) 2012年(平成24年)分以後の所得税について適用される。
<住民税>
年間正味払込保険料 | 控除額 |
---|---|
12,000円以下 | 全 額 |
12,000円超32,000円以下 | 年間正味払込保険料×1/2+ 6,000円 |
32,000円超56,000円以下 | 年間正味払込保険料×1/4+14,000円 |
56,000円超 | 一律 28,000円 |
(注1) 一般生命保険料控除、個人年金保険料控除、介護医療保険料控除の複数の項目についての控除がある場合の合計控除限度額は7万円となる(旧制度と同額)。
(注2) 2013年(平成25年)度分以後の個人住民税について適用される。
2.2011年(平成23年)12月31日以前に締結した契約(旧制度適用契約)の控除額
<所得税>
年間正味払込保険料 | 控除額 |
---|---|
25,000円以下 | 全 額 |
25,000円超50,000円以下 | 年間正味払込保険料×1/2+12,500円 |
50,000円超100,000円以下 | 年間正味払込保険料×1/4+25,000円 |
100,000円超 | 一律50,000円 |
(注) 一般生命保険料控除、個人年金保険料控除の複数の項目についての控除がある場合の合計控除限度額は10万円となる。
<住民税>
年間正味払込保険料 | 控除額 |
---|---|
15,000円以下 | 全 額 |
15,000円超40,000円以下 | 年間正味払込保険料×1/2+7,500円 |
40,000円超70,000円以下 | 年間正味払込保険料×1/4+17,500円 |
70,000円超 | 一律35,000円 |
(注) 一般生命保険料控除、個人年金保険料控除の複数の項目についての控除がある場合の合計控除限度額は7万円となる。
●個人年金保険料税制適格特約を付加することによる契約上の制限
次のような契約上の制限が規定されているので、注意が必要です。
- 積立配当金の引き出しは不可
- 積立配当金は増額年金の原資に充当
- 契約変更等に伴う返戻金の払い出し禁止(年金受取開始時の増額年金原資に充当)
- 契約後10年間の払済年金への変更禁止
- 年金受取人の変更不可
- 年金受取開始時における貸付金は、現金での返済不可
- 税制適格特約の解約は不可
など
2023.04.01 (堀)