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生保税務 法人編

法人の「自社株買い取り」による相続対策

Q: 生命保険を活用した「自社株買い取り」による事業承継対策とは、どのようなものですか。

A:社長が死亡すると、相続人(後継者など)が自社株を取得します。もし自社株の評価額が高くて相続税の支払いができないときに、相続人は会社に自社株を売却し(会社から見れば相続人から自社株を買い取り)、その売却代金で、相続人は相続税を支払うことができるというものです。生命保険金は会社が自社株を買い取るときの資金準備に必要となります。相続はいつ発生するのか分かりません。しかし、会社は自社株買い取りのための資金を常に保有しておくわけにもいきません。そこで、契約者・保険金受取人を会社、社長を被保険者とする生命保険で資金準備をするのです。

2001年(平成13年)に商法が改正され、会社が自社株を取得する際の制限が大幅に緩和されました。いわゆる「金庫株の解禁」です。これにより、会社は目的を問わずに、自社株を取得・保有することができるようになりました。
さらに2004年(平成16年)の税制改正では、相続により取得した自社株を自社に売却した場合には、「みなし配当課税」ではなく「譲渡益課税」となる特例が創設され、譲渡益課税の税率が26%から20%に引き下げられました。「みなし配当課税(総合課税で所得税率+住民税率-配当控除=最高48.6%)」から「譲渡益課税(20%)」になったことで売りやすくなりました。
そして2006年(平成18年)の会社法施行により、自社株の取得が臨時株主総会の決議でもよくなり、また定款に定めておけば、会社が相続人に対して自社株(譲渡制限株式に限ります)の売渡請求も出せるようになりました。経営権の確保のためには、株式の分散化を避けなければなりません。会社法の施行によって、自社株の取得がますます容易になりました。

●自社株取得要件

取得要件 制限なし
譲渡制限 制限なし
取得期間 制限なし
取得株数限度 制限なし
取得財源 取得価格の総額が剰余金分配可能額の範囲内であること
(ただし、純資産額が300万円以上であること)
株主総会 定時または臨時株主総会の決議を要する
取得株式の処分 (金庫株)処分の必要はない

2023.04.01 (堀)