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生保税務 法人編

生命保険を役員退職金として現物支給

Q:法人が契約している生命保険を、役員退職金として役員に現物支給するとはどのようなことをいうのでしょうか。

A:契約者・死亡保険金受取人が法人、被保険者を役員とする生命保険を、役員が勇退するときに名義変更することをいいます。この場合、勇退時(名義変更時)の生命保険の評価額が退職金(もしくは退職金の一部)となります。会社契約の生命保険をそのまま現物でもらう(名義変更する)ことによって、相続税の納税資金の準備ができます。

勇退時(名義変更時)の生命保険の評価額が、退職金(もしくは退職金の一部)となります。また名義変更後の個人契約は、勇退後には保険料を支払わなくても済むようにするため、法人契約期間中に保険料の支払いを終了させておくことがポイントです。

Ⅰ.原則的な取扱い
 名義変更する法人契約は、原則として「支給時解約返戻金の額」で評価されます。

支給時解約返戻金の額
 契約者変更時点で生命保険契約を解除した場合に支払われる解約返戻金の額、および、その他に支払われることとなる前納保険料の金額や配当金等がある場合には、これらの金額との合計額

Ⅱ.特別な取扱い
 名義者変更する法人契約が次の全ての要件に該当する場合は、「支給時資産計上額」で評価されます。

・「支給時解約返戻金の額 < 支給時資産計上額×70%」 であること
・2021年(令和3年)7月1日以降の契約者変更であること
・法人税基本通達9-3-5の2の適用を受ける契約*であること
* 契約日が2019年(令和元年)7月8日以降の「保険料に多額の前納部分の保険料が含まれる」定期保険・第三分野保険に該当する保険契約


支給時資産計上額
 契約者変更時点における、前払部分の保険料として法人税基本通達の取扱いにより資産計上すべき金額(前払保険料や保険料積立金の勘定科目として資産計上されている金額)で、預り金などで処理をした前納保険料や配当金の積立額等がある場合はこれらを加算した金額

2023.04.01 (堀)