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生保税務 法人編

全員加入個人年金保険の年金支払

Q:契約者を法人、被保険者を役員・従業員全員、年金受取人を法人、死亡給付金受取人を役員・従業員の遺族とする個人年金保険に加入しています。
従業員が1人65歳で定年退職することになり、法人が年金を受け取り、従業員退職金規程に基づいて、退職年金として支給します。

この場合の経理処理はどのようになりますか。 年金支払開始日の保険料積立金、配当金積立金はそれぞれ1,800万円、400万円、年金の種類は10年確定年金で、毎年の年金年額は300万円、年金支払見込総額は3,000万円とします。

保険種類 個人年金保険
契約者 法人
被保険者 役員・従業員(原則として全員加入)
年金受取人 法人
死亡給付金受取人 役員・従業員の遺族

A:経理処理は次のようになります。

1.年金受取開始時

その時点での保険料積立金と配当金積立金を年金積立保険料(年金受取開始後に取り崩すための資産勘定)として振り替えます。

借 方 貸 方
年金積立保険料 2,200万円 保険料積立金 1,800万円
配当金積立金 400万円

2.年金受取開始後

(1)年金・配当金の受取時
年金受取時、年金積立保険料から下記の式で計算した金額を取り崩し、配当金を含めた受取金額との差額を雑収入として益金に計上します。

(注1)年金年額=基本年金額+増額年金額(年金受取開始後の配当金を含みません)
(注2)年金支払見込総額=年金年額×次の*の期間
*確定年金・・・・支給期間
*保証期間付終身年金・・・・保証期間と年金開始時の余命年数のいずれか長い期間

余命年数表抜粋 (所得税法施行令82の3の別表)(令和5年度現在)

年金支払
開始日の年齢
余命年数 年金支払
開始日の年齢
余命年数 年金支払
開始日の年齢
余命年数
40歳 36 41 50歳 27 32 60歳 19 23
41歳 35 40 51歳 26 31 61歳 18 22
42歳 34 39 52歳 25 30 62歳 17 21
43歳 33 38 53歳 25 29 63歳 17 20
44歳 32 37 54歳 24 28 64歳 16 19
45歳 32 36 55歳 23 27 65歳 15 18
46歳 31 36 56歳 22 26 66歳 14 18
47歳 30 35 57歳 21 25 67歳 14 17
48歳 29 34 58歳 20 25 68歳 13 16
49歳 28 33 59歳 20 24 69歳 12 15
            70歳 12 14

このケースで計算すると次のようになります。
当期配当金:3万円
年金受取開始時の年金積立保険料:2,200万円
年金の種類:10年確定年金
毎年の年金年額:300万円
年金支払見込総額:3,000万円

雑収入=(300万円-220万円)+3万円=83万円

借 方 貸 方
現金・預金 303万円 年金積立保険料 220万円
雑収入 83万円

(2)退職年金の支払時

退職金規程等に基づき役員や従業員へ退職年金を支払った場合は、原則としてその金額は退職年金として損金に算入します。なお、源泉徴収税額分は預り金として経理処理します。ただし、役員の場合は、損金算入には限度がありますので注意が必要です。

借 方 貸 方
退職年金 200万円 現金・預金 ×××万円
預り金(注) ×××万円

(注)退職年金に対する源泉徴収税額

2023.04.01 (堀)