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生保税務 法人編

全員加入養老保険の加入上の注意

Q:福利厚生制度充実のため、従業員全員加入の養老保険に加入しようとしています。加入に当たり注意すべき点を教えてください。

A:福利厚生プランは、以下の契約形態で加入します。

保険種類 養老保険
契約者 法人
被保険者 役員・従業員(原則として全員加入)
満期保険金受取人 法人
死亡保険金受取人 役員・従業員の遺族

この形態で加入すると、養老保険の保険料の1/2が、原則として、期間の経過に応じて損金算入が可能です。 加入に当たり、留意すべき点は次のとおりです。

  1. 加入目的
    加入目的は節税ではなく、福利厚生の充実であることです。これはこの制度の前提条件になります。。
  2. 契約の継続性
    加入した後、早期の解約・払済に対しては税務当局が損金算入を否認しているケースも多いようです。 何年までが、早期解約・払済にされるかは明確ではありませんが、3年未満は特に要注意と考えられています。
  3. 普遍的加入
    この制度は全員加入が原則です。しかし、勤続年数等の客観的な基準によって対象者を限定することは可能です。ただし、この基準は合理的なもので、その基準に従って普遍的に加入することが必要です。また、基準については社内規程等によって明確にする必要があります。ただし、基準に従って加入する社員の占率が低い場合は普遍的加入とはみなされない恐れがあります。 また、「課長以上」とか「男子のみ」というような基準は、非合理的である(福利厚生の趣旨に反する)とみなされます。
  4. 保険金額
    保険金額は、合理的な基準に基づいた社内規程を設けた上で勤続年数や年齢等の客観的な基準によって差をつけることは可能です。 (ただし、具体的な金額についての明確な規定はありません)。
  5. 保険期間
    保険期間についても、明確な規定はありませんがあくまでも福利厚生が目的であり、短期の満期の場合は、継続性がないとみなされることもありますので、続けて再度加入するなどして1回だけで終了しないようにします。 また、満期保険金が損金として処理されるためには定年時期に合わせた歳満期とし、退職金準備とすることが多いようです。
  6. 同族関係者
    被保険者が同族関係者で役員・従業員の大部分を占める場合は、たとえ役員・従業員が全員加入であるとしても、同族関係者の保険料の1/2は給与として取り扱われます。
  7. 維持管理
    従業員の入退社に応じて追加加入や脱退処理をする必要があります。退社しているのに契約が継続していたり、入社して加入条件を満たしているのに加入していないなどの場合は、福利厚生目的からは相違しているとみなされ、福利厚生費として損金算入が認められない恐れもあります。この制度が福利厚生制度としての目的を果たしているか定期的に確認し、対応する必要があります。

2023.04.01 (堀)