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生保税務 法人編

死亡日と決算日

Q:契約者・死亡保険金受取人を法人、被保険者を社長とする生命保険があります。被保険者である社長が、決算日直前に死亡しました。保険会社から法人(当社)への死亡保険金の支払いは翌事業年度になっています。この死亡保険金はどちらの事業年度分として経理処理すればよいですか。

A:原則的には死亡日が計上日と考えられているようです。しかし、実務上は支払通知を受けた時点の事業年度分として経理処理しているケースが多いようです。

死亡事故が発生した場合は、保険金請求書の取り寄せから必要書類の整備、死亡が事故の場合などは保険会社が調査をする場合もあり、実際の死亡日から、死亡保険金を受け取るまでにはかなりの日数がかかる場合があります。原則は実際の入金が翌期になってしまった場合も、死亡日の属する事業年度の未収金として経理処理することになっています。決算処理に間に合わないとしても、後発事象として処理することが必要ではないかと考えられています。

実務上では、保険会社から支払いの通知を受けたときに取引があったものと認識する場合もありますが、このように決算日をはさむ場合には注意が必要であり、所轄税務署に確認したほうがよいようです。これは、死亡保険金を受け取ると通常は多額の収益が発生する場合が多いので、翌期の収益にすることにより利益操作に当たると考えられる恐れもあるからです。

しかし、死亡保険金は被保険者が亡くなっても支払われないケース(一定期間内の自殺、保険金受取人の故意など)があることなどから、受取日に収益が発生するという考え方もあります。災害割増特約が付加された生命保険に加入していた場合で、災害死亡保険金か普通死亡保険金かどちらに該当するのか不明なため、保険会社の調査などの結論が遅れるようなときには、死亡日の属する事業年度は普通死亡保険金で処理しておき、金額が決定されてから差額分を経理処理するケースもあるようです。

2023.04.01 (堀)