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生保税務 法人編

総合福祉団体定期保険

Q:勤続1年以上の役員・従業員を被保険者として、総合福祉団体定期保険に加入することになりました。この場合の保険料の経理処理および税務上の取り扱いはどうなりますか。主契約、ヒューマン・バリュー特約ともに、死亡保険金受取人は契約者である法人です。
また、死亡保険金受取人が遺族になっている場合はどのようになりますか。

契約者 法人
被保険者 役員・従業員
死亡保険金受取人 法人または役員・従業員の遺族

A:法人が死亡保険金受取人の場合の保険料は損金算入が可能で、死亡保険金受取人が遺族の場合も同様です。ただし、法人を死亡保険金受取人とする場合は、被保険者の同意確認が必要です。

総合福祉団体定期保険は、団体の所属員などのうち、一定の資格を有する者を被保険者とした保険期間1年の定期保険です。以前の団体定期保険では、法人が受け取った死亡保険金を遺族に支払わず、役員・従業員の死亡による企業の経済的損失の補てんに充当していた場合も多くあり、遺族と企業との間でトラブルが発生するケースがありました。そのために、主契約部分は、企業が定めた遺族補償規程(死亡退職金規程、弔慰金規程など)に基づいて遺族に支払う金額となっており、一方、企業の経済的損失を補てんするために企業が受け取る金額であることを明確にしたヒューマン・バリュー特約があります。

総合福祉団体定期保険は、法人が保険料を負担して死亡保険金受取人になっている場合、その保険料は期間の経過に応じて損金算入が可能です。ただし、総合福祉団体定期保険の契約日は翌月1日となっており、しかもその日までは責任開始もされていないため、契約時の第1回保険料は、いったん仮払いとして処理し、契約の成立を待って翌月以降に保険料として処理することになります。

保険料支払時

借 方 貸 方
仮払金 ×××円 現金・預金 ×××円

翌月の成立後

借 方 貸 方
保険料 ×××円 仮払金 ×××円

契約者を法人、被保険者を役員・従業員、死亡保険金受取人を役員・従業員の遺族とする契約形態で総合福祉団体定期保険に加入した場合も、その保険料は損金算入が可能です。しかし、役員や部課長など特定の者のみを被保険者とした場合は、被保険者に対する給与となり、役員については、一定のものを除き損金不算入です。特に役員・従業員の大部分が同族関係者である企業の場合は、たとえ役員・従業員の全員が公平な条件で加入していても、同族関係者は給与所得として課税されることになります。

また、役員・従業員が退職した後も一定の基準を決めて、継続加入をさせている場合、役員や部課長など特定の者のみを対象としていないこと、保険料の負担基準や保険金額の決定基準が合理的であることなどの一定の条件を満たせば、退職者分の保険料も損金算入することは可能です。

2023.04.01 (栗原)